虫歯予防につながる口腔機能の育成


 

 

むし歯はどうやってできるのでしょう

診療室や母親教室で

「虫歯ってどうやってできますか?」

と聞くとお母さんは

「バイ菌が・・・」「砂糖が・・・」と言うのですが、正解を言えるお母さんは少ないです。

 

むし歯は

虫歯菌が砂糖を食べて出す酸で歯が溶けて虫歯になります。

 

つまり

虫歯菌がいても、砂糖を摂取しなければ虫歯にならない

ということになります。酸が出ないから。

つまりむし歯予防で一番大事なのは

砂糖のコントロールです。

 

じゃあ「砂糖を摂取しなければ歯ブラシしなくていいの?」というと、

歯ブラシしなければしなければ口の中汚いですし、臭くなりますし、歯茎腫れますし、しないとだめです。さらにお菓子を食べなければ砂糖を摂取してないということではなく、果物にもケチャップやソース、みりんとか味付けにも入っているので、そもそも完璧に砂糖を摂取しないというのは現代社会では不可能です。

 

ただし

後で歯ブラシをするから甘いものを食べていい

とか

歯ブラシしているのに虫歯になるのは歯が弱いから

とかではないということです。

 

 

 

フッ素ってなんでしょう?

次に「フッ素の効果ってなんですか?」とお母さんに聞くと

「虫歯にならないようになる・・」「塗ると歯にいい・・」

とかこれもぼんやりしているんですね。

 

逆にネットで危険だからフッ素は塗らない方がいいというのを見たというお母さんもいます。

それはそれで塗りたくないなら塗らないで構わないのですが。

 

フッ素の効果は大きくは歯質強化というのがあります。

歯が強くなる。

 

さっきの話で行くと

虫歯菌が砂糖を食べて出す酸が歯を溶かすのであればその時の歯が少し強くなっているのがフッ素を定期的に塗っている人の歯ということです。強くなっているだけでダメージは受けます。ロールプレイングのゲームで鎧を買ったときの守備力が+10なのか?+30なのか?の問題でダメージを全く受けない鎧ではないということです。

 

 

つまりフッ素を塗ってもお菓子を食べすぎたら虫歯になります。

 

そういった意味で

フッ素の一番の副作用はお母さんが「フッ素は虫歯にならない」と思ってしまうことです。

よく「歯医者さんに行ってフッ素塗ってたのに虫歯ができた」みたいな話を聞きますが、結局砂糖の量のコントロールをしなかったらダメですよということです。

 

子供の虫歯予防は

歯ブラシ 50点 
砂糖の管理 50点
フッ素 +10点

くらいのイメージで考えていけばいいと思います。

 

 

とは言っても砂糖の管理って?

と先生言いましても、甘いものが歯に悪いなんてわかっているけど

子供は買い物行くとお菓子のコーナーでぐずるし

グズったらお菓子で機嫌とるのが楽だし

ってお母さんは心の中で思っているわけです。

 

そこもう少し掘り下げましょう。

 

北海道大学大学院歯学研究院の八若保孝教授と北海道医療大学リハビリテーション科学部の西出真也講師らによる「Journal of Dental Sciences」に掲載された研究では

小児で夕食の時間が遅かったり就寝時間が遅い夜型の生活をしていると、虫歯のリスクが高くなるという発表もあります。

 

また富山大学地域連携推進機構が高岡市内の小学校に通う1年生から6年生までの2109名を対象として、2016年1月に行った調査でもこういった市民時間と虫歯の子供の関係がわかっています。

 

このグラフは「よく寝たら虫歯にならない」ということではありません。そもそも虫歯にメカニズムの中に睡眠時間でどうという因子はないはずです。

 

砂糖をとると子供の体の中で何が起こるのでしょうか?

子供の砂糖を取りすぎた時の一番の問題ってなんでしょうか?

歯医者だから「虫歯」と言いたいんですがそうじゃないんですね。

 

砂糖が体の中に入ると子供でも大人でも血糖値が上がります。これ何が変わるかというと、脳が満腹になる指令が出ます。そんなに量を食べなくても。特に小さい子は身体も小さいので、薬とかでも量を減らさないといけないように、ちょっとの砂糖で体が反応します。

 

じゃあそれでどんな反応をするのでしょうか?

 

例えばご飯の前にちょっとだけ待てなくてお菓子を食べる。お母さんは量は少しだからと思っても頭の中はそれ以上に食べた気になります。そのまま夕ご飯になればお腹は空いているのに、頭は空いていない状態です。

 

・好きなものしか食べなくても頭の中はお腹がいっぱいになる

好き嫌いが多くなる

・量を食べなくてもお腹いっぱいになる

食べた気になっているだけで実際はお腹いっぱい食べていないので眠くならない。

寝かしつけにも時間がかかる。

といったことが起こってきます。

 

特に小さい子供はお腹いっぱい食べていないと寝てくれないと、寝てもお腹が空いて起きちゃうので「夜泣き」の原因のひとつだったりします。ご飯の前にお菓子を食べた子供は頭の中がお腹いっぱいになっているだけで実際の胃袋はいっぱいにはなっていないので、こういった睡眠の問題も出てくる可能性が高くなります。

 

「むし歯ができても歯医者さんが治療してくれるからいい」と言うお母さんもたまにいますが、その前に好き嫌い多くして、量も食べれない、夜寝れなくてってことは朝も苦手。小学校が始まると朝起きれないし、給食も苦戦するでしょうという話になります。

 

砂糖の摂取のコントロールといっても、じゃあ具体的にどこをゴールに置くか?と言ったら

むし歯ではなく
食事で困ることがなく、よく寝る生活リズムの獲得

ができるようになることと当院では考えています。

 

食事で困っている子、好き嫌いが多く遊び食べをしたり「食べること」でうまくいかない子供がしっかり噛んで食べていることは少ないので、歯並びやかみ合わせも噛んでいない子供に合わせたものになっていきます。

うまく噛めない子供は乳歯では隙間のない歯並びになってしまいます。隙間がない歯並びは磨きづらいですし、歯と歯の間にも汚れがたまりやすいので虫歯のリスクが高くなります。一方正しい成長している隙間がある乳歯の歯並びは歯ブラシだけでで歯と歯の間が磨けますし、汚れがたまることもないので虫歯のリスクが大きく下がります。

 

しっかり噛んでいきながら口の機能を育成し正しい成長をすることも虫歯予防の一つになります。

子供にむし歯ができたときに、その後ろにある様々な問題にもアプローチすることがまず大事で、虫歯を治療してもそうなった砂糖をとる生活習慣がそのままでは好き嫌いもなくならないですし、1日の生活リズムの獲得も難しいでしょうし、歯が並ぶスペースや噛み合わせで問題が出てくると思います。

 

日本歯科医学会の子供の食事の調査では約半分のお母さんが子供の食事での心配事を抱えています。

こういった問題の多くは問題が起こった時ではなく、それより以前の哺乳・離乳の時期からあると当院では考えており、母親教室も開催したりしています。また機能の問題から乳歯で歯並び・噛み合わせに問題がある子供の場合は積極的に乳歯列からの機能改善を主とした矯正治療を行っています。一方でそういった口全体の悩みに対して、フッ素を塗ることだけでは解決はしません。

 

というわけで最初のクイズの答え

Q:歯医者にフッ素を塗りに行ったら虫歯にならない?

フッ素を塗っても砂糖を食べたら虫歯になるし

むし歯の心配するなら砂糖のコントロールを意識しましょう。

そして規則正しい生活リズム、そのためにはよく遊んで、しっかり食べて寝るというサイクルを作っていくことが大事になると思っています。

 

だから虫歯予防は

フッ素を塗って終わりということではなく

生活面や食事のアプローチが必要になるとただ歯科クリニックでは考えています。

 

 

まずは3歳までに母親教室の受診をしましょう。

ただ歯科クリニックでは

0~1.5歳、1.5歳から3歳の2回のタイミングでの母親教室を行っています。

ここでは先ほどから話している生活リズムの形成をどうするか、正しい機能の発達のためにどうするか?と言ったことを中心に話をさせてもらっています。

 

母親教室のお知らせ

 

 

治療の流れ

乳歯列で以下の歯並びがある場合は「口腔機能に問題があり歯列不正が起こっている」ということで、口腔機能の改善と歯列不正の改善を行います。

①隙間がない乳歯のガタガタの歯並び

②乳歯の反対咬合

③乳歯の過蓋咬合

 

上記の歯並びの問題がない子供で、口腔機能に問題がある子供の場合、定期的な来院でフッ素塗布を行いながら食事指導を中心とした機能へのアプローチや生活指導を行います。

 

治療費

 3歳児口腔機能検診(無料)を最初します。そのうえで

 A:乳歯の歯並び・噛み合わせに問題がある場合

   →既製マウスピース矯正での機能改善と虫歯予防

    診断:15000円 装置代:30000円 管理料:2000円

   毎月来院して装置のチェックや虫歯予防、口腔機能の指導

     EX)2年間 45000+2000×24=81000円

 ※3~5歳のプレオルソ・T4K・ムーシールドを用いた乳歯の機能矯正

 

 B:乳歯の歯並びの不良なし、口腔機能の問題あり

   →口腔機能への指導・食事指導・フッ素塗布

    初診5000円(0~3歳コース受診済みの人は0円)

    3か月ごと2000円

   EX)2年間  5000+2000×8=21000円

*永久歯が生えてきて歯の大きさや位置異常などで矯正治療が必要になることがあります。

 

 



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