6~8歳の成長の力を利用した床矯正とバイオファンクショナルセラピー


このページで説明している内容は自由診療の範囲になります。

 

 

6歳くらいで前歯が生えてきたときにスペースが足りなくてびっくりしたお母さんも多いと思います。

その時に「自然に治るかもしれない」と思って様子を見たり、相談してみたら「大人の歯になるまで様子を見ましょう」と言われてこのままでいいのかな?と思ったお母さんもいるかもしれません。

 

 

前歯のスペースが足りない時に調べること

まずは歯が並んでいない原因を知りましょう。

6~7歳で前歯のスペースが足りなくなるのは

 

この3つに分けられます。

 

①は何らかの原因で正しい成長発育ができていないために顎が成長できなかった子供です。歯が大きくないということは、正しい成長をしていたら前歯が並んでいた子供です。

 

一方で②の場合は、歯の大きさは先天的要因です。何かをしたから生えてくる歯が大きくなった小さくなったということありません。また生えてきた歯がこれから大きくなったり小さくなったりもしません。正しい成長は一生懸命してきたのに歯が大きいという偶然のせいで歯が並んでいない子供です。

そしてこれからも大きい永久歯が生えてきます。

 

③の場合は顎の成長不足と歯の大きさの両方が原因です。必要なスペースは顎の成長不足分と歯の大きい分必要なので、他の二つよりも多くなります。できる限り早くたくさんのスペースを作っていかないといけない子供です。「様子を見ていて治るかもしれない」は絶対にありません。

 

同じようなガタガタの歯並びでも①、②、③のどれかで話は大きく変わってきます。大事なことは歯の重なり具合ではありません。例えば重なりが少しでも③の場合であれば今後かなりのスペースが足りなくなるので矯正のために歯を抜くことも検討しなければいけません。

 

6~8歳の前歯のガタガタの治療内容

ただ歯科クリニックでは6~8歳の前歯のガタガタ(叢生)に対して「床矯正(しょうきょうせい)」という治療を行います。床矯正という装置を1日14時間以上装着をしてもらいます。夕方5時から朝7時までつければ14時間です。ただ歯科クリニックでは学校にはもっていかないで家にいるときを中心にこの床矯正をつけてもらいます。

 

 

床矯正の装置の力を生かすバイオファンクショナルセラピー

床矯正という装置は真ん中にねじがついています。最初に話しましたが、1日14時間以上をつけてもらいます。少し広がった装置を1日の半分以上口の中に入れることでそれに合わせて顎が広がるというのを繰り返していきます。

1個の装置につき5ミリのねじがついていてこれを半年から1年かけて広げていきます

5ミリ広げてもまだスペースが足りなければ新しい床矯正でまた広げていきます。

 

先ほどの分類で行くと①や②の「歯が大きいだけ」「顎が小さいだけ」のケースは1~2個でスペースができますが、③歯が大きくて顎が小さい両方ある子供の場合は2~3個の装置が必要になります。

装置の数が変われば治療費用や期間も変わってきます。

 

スペースができたら次はそこに歯を並べていかないといけません。歯を並べるのは同じように設計が違う床矯正の装置で並べたり、一般の矯正治療で使うような固定のワイヤーで並べたりします。

少し古いテレビ番組の映像ですが、ただ歯科クリニックも所属している一般社団法人 日本床矯正研究会の会長鈴木設矢先生が、床矯正のポイントをとても分かりやすく説明しています。ご覧になりたい方は画像をクリックしてください。

 

装置を外しているときも大事!

床矯正は食べたり飲んだりする時に外す装置です。噛んでいる子供、機能が発達している子供はこの時に正しい力を歯に伝えるので治療の反応や動きがいいです。一方噛めない子供はスペースはできてきますが使えてないので反応や動きがいまいちなってしまいます。例えばさっきの②の顎の成長はしているのに歯が大きくて並ばない子供はもともと噛めているので、床矯正をしても反応がいいので治療が複雑になる可能性は低くなります。

 

 

日本床矯正研究会ではそういった機能の発達の弱いところ、噛めていないところを指導していくのを「バイオファンクショナルセラピー」と呼んでいます。研究会でいう床矯正治療は床矯正を使ったメカニカルなアプローチと、このバイオファンクショナルセラピーを主とした機能面のアプローチの両輪で行うこと言います。つまり装置だけ一生懸命入れていても中途半端になる治療が床矯正ともいえます。

 

 

床矯正の治療期間

床矯正は治療を開始する年齢が大事

床矯正は上下の前歯4本が生えた7歳前後に治療を始めることが成功のポイントになります。

前歯4本の永久歯が生えた後、2年ぐらい生え変わりが休みになります。その間の口の中が安定している時期に前歯4本のスペースを作り、並べることが大事になります。先ほども申しましたが、1個の装置にで広げられる量、それに必要な期間が決まっています。

 

③のケース歯が大きくて顎が小さいケースでは2個以上の装置が必要になり、2年間という期間でギリギリになってきます。8歳過ぎに始めようとなってもスペースを作っている間に犬歯が生えてきます。

①や②のケースでは1個の装置である程度スペースもできるので7歳前後に開始するならばいいのですが、8歳過ぎに治療を始めるると、犬歯が生えるまでに足りなくなることがあります。

 

9~10歳の犬歯から後ろの生え変わりが始まると、残っている乳歯がグラグラ揺れてきます。揺れている歯に力をかけても早く抜けるだけで、スペースはできません。そうなると抜けるのを待って、永久歯が生えてくるのを待たないといけません。それが上下左右で起こってきます。

生え変わりがある間は治療がうまく進まなくなる時期です。特に犬歯から後ろの乳歯の生え変わりが始まると、床矯正での治療は不利になります。

 

こういった治療のタイミングについて書いたブログの記事です。

【子供の矯正16】スペースの問題は6~9歳の間に床矯正で終わらせるといいですね

 

 

早くスペースを作ると装置で前歯4本を並べるのが可能!

前歯4本のスペースを作り、犬歯が生えるまでに時間の余裕があれば「閉鎖症」という装置で前歯4本を並べていきます。

逆に犬歯が生えてしまってからでは装置ではなく固定のワイヤーを使って前歯を並べる確率が高くなってしまいます。

 

閉鎖症に関してはブログの記事を見てください。

【子供の矯正51】いろいろ便利な閉鎖床

 

前歯がきれいに並んでも経過を見る必要があります

4本の前歯がきれいに並んでも、そのあとの歯が問題なく生えてくる保証はありません。乳歯から永久歯の生え変わりを見て、最後に6歳臼歯の奥から生えてくる12歳臼歯がしっかり噛み合うまで経過を見る必要があります。もし生えてきた歯に問題があれば1本ごとの問題です。治療が必要でもそこまで複雑になることは少ないです。

 

ただし現実的にほとんどの子供は中学生になると忙しくなるので、まずは小学校の間は通院してもらいながら治療をしていく形になると思います。

床矯正の治療の流れ

治療期間が長いのが気になるのであれば・・・

治療期間が長いのが気になるのならば、全部大人の歯になる中学生以降に矯正治療された方がいいと思います。あくまで成長途中の子供の矯正は、今の問題が解決しても新しい問題が出てくる可能性があり経過を見て必要ならば対応しなければならないからです。

 

一方成長が終わった大人の歯に全部なってしまえば、中学生でも高校生でも成人しても状態が変わるわけではありません。ただし大人の歯になってからはスペースを作っていくのは難しくなるので、スペースが必要であれば永久歯を抜歯をする可能性があります。歯を抜けばスペースができているのでそこに歯を並べていくだけなので2年前後で治療が終わります。

 

 

 

床矯正の治療費(税込み)

診断料(レントゲン撮影・模型診査・写真撮影) 38,500円
床矯正 片側1個目

79,200円

床矯正 片側2個目 39,600円
ブラケットで歯を並べる(金具とワイヤーを使った固定装置)片側・本数にかかわらず 71,500円~
床矯正の装置で歯を並べる 片側 39,600円
管理調整料 3,300円

治療費は2023年1月より改定しています。

例えば上下どちらかで、装置1個で拡大、装置で並べた場合

診断料38,500円+装置1個目79,200円+並べる装置39,600円で157,300円と毎月の管理料となります。

上下2個拡大後、上下ともワイヤー並べた場合

診断料38,500円+上下2個ずつ拡大79,200円×2+39,600円×2+上下ワイヤーで並べる71,500円×2で419,100円と毎月の管理料になります。

 

床矯正のメリット&デメリット

メリット

・適切な時期に始めれば、前歯のみで歯並びの問題を解決できる

・適切な時期に始めれば、歯を抜かないで成長を利用して矯正ができる

・成人になってからの一般的な矯正よりも費用を抑えられる。

・学校生活にあまり負担にならないで矯正治療ができる。

デメリット

・経過を見ている期間も含めると全体の治療期間が長い

・取り外しの装置なので毎日決められた時間(14時間以上)装着しないと効果がない

・骨の成長の時期や、装着時間などで広がる効果にばらつきがある。

 

床矯正のQ&A

Q1:こんな大きな装置子供が入れられるかが心配です。

子供が入れることができるか不安なお母さんが多いと思います。装置を作る際に型取りをします。この型取りができたら装置を入れるときも問題なく入れることができます。

Q2:型取りがうちの子供出来ないのですが・・

床矯正を作るときに必ず型取りが必要になりますが、その時に嘔吐などをして型取りができない子供がいます。正しい呼吸や嚥下ができていない機能の問題がある子供です。そういった場合は既製マウスピースなどを使ってまずは機能を正常に近いところに上げる必要があります。早い子供ですと半年、1年くらいで多くの子供が型取りできるようになります。

Q3:忙しくて14時間入れられないのですが、8時間くらい入れていればいいですか?

床矯正の1日14時間以上というのは1日の半分以上、つまり12時間以上装着してくださいということです。1日の半分以上入れているので、装置を外している間に戻ってきてもまた広がっていきます。寝ているときだけ8時間入れると、半分くらいのペースで広がりそうですが、8時間しか入れないというのは16時間外しているということです。つまりほとんど広がりません。どうしても装着時間が作れなければ、他の装置を提案します。

・ただ歯科クリニックのブログでの装着時間に関する記事です。

【子供の矯正9】床矯正は1日入れ忘れると取り戻すのに2日かかる【2017年8月31日更新】

 

Q4:友達で小学校に装置を持ってきてる子供がいるのですが・・・

床矯正を行う歯科医院で小学校にも装置を持っていくよう指導しているところがります。学校にもっていくと装着時間はクリアできますが、①食事中は外すので給食の時間外す②しゃべりづらいので国語や音楽の時間外す③転んだりぶつかったりしたときに危ないので外すなど、ずっと装置をつけているわけではありません。

 

よくあるのは学校でそのように取り外しをしていると「見せて!」といって友達が触って落っことして破損したとか、持って帰ってくるのを忘れて夜気づいて取りに行けないかったといったトラブルが増える傾向があります。

ただ歯科クリニックではそういった問題があることから基本的には学校に装置を持っていくことは推奨していません。どうしても時間が足りない場合、足りない時間に合わせて通学の時間のみつけるとか、必要であれば他の装置への変更をお話します。

 

ただ歯科クリニックのブログでより

【子供の矯正40】床矯正を学校にもっていかないわけ【2018年2月17日更新】
Q5:顎を広げるときに痛みはありますか?

痛みに関してはまず装置を入れた直後歯ぐきに当たって痛くなるところがあります。それは調整すれば大丈夫です。また広げているときの痛みは最初の動かし始めの時に少し歯ぐきに圧迫感を感じる程度です。

特に乳歯に関しては開始時に歯の抜ける準備(歯根吸収)が始まっているので押しても痛みを感じることはありません。

Q6:もうほとんど永久歯なのですが床矯正はできますか?

もうほとんど永久歯になった場合、ただ歯科クリニックでは床矯正ではなくSH療法を提案します。床矯正は犬歯が生えてからでは、反応も悪く、うまくスペースができなくなります。また小学校高学年以降、中学校に入ると装着時間の14時間がかなり難しくなります。SH療法はその点8~10時間の装着でいいので中学生でも装着が可能です。ただし費用がSHの場合かかるようになります。

SH療法のページ

・治療のタイミングに関してのただ歯科クリニックのブログの記事です。

【子供の矯正4】矯正治療を始めるタイミング【2017年7月22日更新】

【子供の矯正33】13歳は子供ですか?大人ですか?

【子供の矯正19】床矯正の弱点から考える子供の年齢による変化を知ろう。

 

Q7:床矯正治療をすることで虫歯になったりしませんか?

床矯正は取り外しの装置なので歯ブラシをする際には装置を外した状態でしてもらうので虫歯のリスクが上がるようなことは固定装置と比べると低いと思います。また飲食のたびに外してもらうので、だらだら食いや間食などのむし歯のリスクが高くなるような習慣も減ったりします。

一方でそういった中で床矯正治療をしているときに虫歯を作ってくる場合もありそれらは生活習慣等での砂糖の摂取、間食の問題があると思われるので装置のせいにしないでそういったことに向き合って改善していく必要があります。

また矯正前にたくさん虫歯がある場合はまずはそちらの治療が先になりますし、治療が終わっていたとしても虫歯だった歯の数が多い子供の場合、生活の中での親御さんの管理が不十分な可能性があり、床矯正のような取り外しの矯正には向かないのでお断りする場合もあります。

 

Q8:後戻りをしてまた永久歯になったら矯正治療が必要になりますか?

後戻りということが起こるということはどういった状態かそれぞれのケースで考える必要があります。

たとえば噛んでいない子供、機能が弱い子供の歯だけをきれいに並んでも、それを使っていないのであれば使わないなりのかみ合わせに変化をするのが人だと思います。治療中もですが、治療後の安定も噛んでいる子供、噛んでいない子供では反応が違うと思います。だから日本床矯正研究会の床矯正治療のコンセプト、装置を使ったメカニカルな治療と同時に行う食事指導を中心としたバイオファンクショナルセラピーが大事になると当院は思っています。

 

Q9:床矯正治療での痛みはありますか?

最初装置を入れたときに当たるところはありますが、装着時間を守っていれば歯を動かす痛みは、

24時間入れている固定の装置よりも痛みが出たりするのは少ないです。14時間の装着時間を守らないで10時間とかの装着時間で装置を広げようとすると、痛みが出たりします。

 

Q10:治療費用をはっきりさせてもらいたいのですが・・・

床矯正治療は子供の成長を利用しながら行うので不確定要素が出て同じ装置を同じように使っても個人差が出てきます。それにより費用が変わるので当院では総額制にはしていません。

治療費用をはっきりする場合は小児矯正であれば当院ではインビザラインファーストという小児のマウスピース矯正を選んでいただくか、成長が終わってからの永久歯になってからの矯正治療をお勧めします。

 

まずはご相談ください。

仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックでは

床矯正の無料相談を行っています。(要予約)

電話:022-377-2350

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注意事項

*このページはただ歯科クリニックの治療についてのページです。他院で使用する材料、治療の内容は違うことがありますのでご注意ください。またこのページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。

*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。



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