宿題に集中できない理由が“口腔機能”と関連? (感覚統合 × 口腔機能からやさしく理解する【5】)


【2025年12月24日 8:00 PM更新】

こんにちは

仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。

初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。

 

こんなお悩みないですか?

「宿題に集中できないのは、性格のせい?」
「やる気がないように見えるけど、どう声をかけたらいいのかわからない…」

当院では子供の矯正装置は負担が少ない取り外しの装置が多いので、診療室でも、「だから装置もうまく使えないんだ・・・」とこうしたお悩みを聞くことは少なくありません。そして多くのお母さんが、どこか申し訳なさそうにこう続けます。「私の接し方が悪いんでしょうか…」

まず最初に、これははっきりお伝えしたいことです。

宿題に集中できないことと、あなたの育児の善し悪しは関係ありません。
そして、多くの子どもは“理由があって”集中できなくなっています。

その理由のひとつに、実は口腔機能(舌・口唇・噛む力)と感覚統合の発達が関わっている場合があります。一見関係なさそうに見えますが、「口」と「集中力」は脳の働きで密接につながっているのです。

この記事では、歯科医師の立場から宿題に集中できない子に隠れている“口の発達サイン”をわかりやすく解説します。

1|集中力と口腔機能はどうつながる?

「口」は“体の中でもっとも感覚が集まる場所”だと言われています。

触覚、圧覚、固有感覚(筋肉の位置情報)、味覚、温度…
それらが集まり、脳に大量の情報を送り続ける場所です。そしてこの「口の情報」を処理する部分は、
実は「姿勢を安定させる領域」と脳内で強くリンクしています。

つまり、

口の使い方が不安定 → 姿勢が不安定 → 体が落ち着かない → 集中しづらい

という流れが起こりやすいのです。

たとえばこんなサインがあると、“集中しづらい理由が口腔機能にある”可能性があります。

  • 口がぽかんと開きやすい

  • 食事に時間がかかる

  • 飲み込みが苦手、むせやすい

  • いつも姿勢が崩れやすい

  • 宿題中にペンや袖口を噛む

「噛む」「飲む」「姿勢を支える」これらはすべて同じ筋肉の協調運動であり、それらの発達が追いついていないと、宿題中の落ち着きにも影響します。

2|宿題に集中できない子に多い“3つの口のサイン”

① 口呼吸でボーッとしやすい

宿題中に、

  • 気がつくと口が開いている

  • 呼びかけても反応がゆっくり

  • ぼんやりしていることが多い

こんな様子が見られる場合、口呼吸の影響で脳の“覚醒レベル”が下がりやすくなっている可能性があります。呼吸は脳への酸素供給と深い関係があり、口呼吸は浅く早い呼吸になりやすく、体も落ち着きません。診療室でも、口呼吸のある子は

「集中して聞くのが苦手で、授業についていけない」
「声をかけても反応が薄い」

と相談されることがよくあります。

② 舌の位置が低く、姿勢が崩れやすい

舌には“姿勢を安定させる役割”があります。

舌が上顎につかず、いつも下の方に落ちていると

  • 体幹が倒れやすい

  • すぐ横を向く

  • 肘をつかないと座れない

  • 椅子にじっといられない

といった姿勢の不安定さが出てきます。

姿勢が安定しないと、脳は「身体を支える」ことにエネルギーを使うため、宿題に回す力が少なくなってしまうのです。

③ 噛む力が弱く、集中の“スイッチ”が入りにくい

「噛む力」は、実は“覚醒のスイッチ”です。固有覚(筋肉のセンサー)を刺激し、脳をシャキッと働かせる役割があります。

しかし、

  • 嚥下が弱い

  • やわらかい物ばかり食べる

  • 噛む回数が少ない

  • 舌の動きが弱い

こうした子は“噛むことで集中力を上げる”という体の使い方が身についていません。

そのため、

宿題に取りかかるまで時間がかかる
→ すぐ気が散る
→ 落ち着かない

という悪循環が起こりやすくなります。

3|今日からできる“家庭でのケア”

お母さんがプレッシャーを感じずに取り入れられる方法だけをご紹介します。

① 宿題前に“スイッチ”を入れる

固有覚や前庭覚を刺激する少し遊びを入れると集中しやすくなります。体を動かしてから宿題をするというルーティンを作りましょう。

  • 小刻みなジャンプしたり、その場でダッシュするもも上げを何本かする

  • 回転いすでぐるぐる回る
  • 何か決まった3分ぐらいの曲を踊る(ユーチューブとかなら1.25倍とか少し早くする)

② 10秒の“鼻呼吸チェック”

宿題を始める前に、親子で

「10秒だけ鼻でスーハーしよう」

と軽く整える習慣を作ると、呼吸が安定し集中しやすくなります。

③ 椅子と机を体に合わせる

姿勢が崩れて集中できない子の多くが、実は椅子の高さが合っていないことが多いです。

  • 床に足がしっかりついている

  • 机の高さは「へそ~みぞおち」あたり

  • 背もたれに軽く寄りかかれる

この3つを見直すだけで、「姿勢を支えるエネルギー」が減り、宿題に集中する余力が増えます。

④ 宿題は“短いタスク”に区切る

これは少し離れますが、発達特性のある子にも効果的です。

  • まず5分だけ

  • 1ページの半分だけ

  • できたらハイタッチや簡単な運動をする

小さな「できた」が積み重なることで脳の報酬系が働き、次の集中が入りやすくなります。5分しか集中できなければ間隔をあけながら5分でセット数を増やす。その子のキャパが必ず30分、1時間である必要はありません。

4|まとめ:宿題に集中できないのは“親のせいじゃない”

宿題に集中できない理由は、本当にさまざまです。
そしてその中には、口腔機能の発達と感覚統合の未熟さが隠れていることがあります。

  • 口呼吸

  • 舌の位置の低さ

  • 噛む力の弱さ

  • 姿勢保持の難しさ

  • 感覚過敏・固有覚の未発達

これらが積み重なると、宿題に向かうだけで子どもにとって大仕事になります。

ぜひ、今日お伝えしたことをお母さん自身を責める材料ではなく、「子どもを理解するためのヒント」として使ってあげてください。子どもは決して怠けているのではなく、“体の使い方が追いついていないだけ”ということは本当によくあります。そして機能は必ず伸びます。
姿勢も、呼吸も、噛む力も、ゆっくり整っていきます。

あなたとお子さんが少しでも楽に、そして安心して宿題の時間を迎えられることを願っています。

の発達は全身の発達とつながっています。
それを知ることで子供を引っ張る子育てから背中を押して成長を助ける子育てに変わります。

まずはご相談ください。

こういった定型児の「食べる」機能の問題がある子供の一部は2018年から「口腔機能発達不全症」という病名で保険診療での治療の対象になることがあります。ただし、歯並び・かみ合わせの問題がある場合、矯正治療と同時に行うのは混合診療になるので、当院では矯正治療を行う場合は、矯正治療の中で指導をしています。また発達障害等の症状がある子供にはより専門的で細やかな介入や指導が必要になることがあります。

 

矯正の無料相談を行っています。(要予約)

無料相談では費用や期間だけでなく、患者さんの現在の今の状態、なんでこうなってしまったのか?そういったことを話します。矯正の無料相談は、診療日のどの時間でも対応していますが、必ず予約して来院してください。

 

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注意事項

*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。

*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。

*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。




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