【2026年3月24日 8:00 PM更新】
こんにちは
仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。
初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。
こんなお悩みないですか?
離乳食の時間になると、
「べーっ」と舌で押し出してしまう。
一口食べてもすぐに泣いてしまう。
口を開けてくれない。

そんな姿を見て、「うちの子、食べたくないの?」「好き嫌い?」と悩んでしまう保育者の方は多いと思います。
でも――
“べーっ”には、ちゃんと理由があります。
そしてその多くが、
その子の発達ペースや感覚の感じ方
口腔機能の成熟度
と深く関係しており、“わがまま”や“嫌がっているだけ”ではありません。
ここでは歯科医師の視点から、離乳食をべーっとしてしまう子の背景と、保育者が安心して関われるための優しいヒントをご紹介します。
1. 「べーっとする」のは“食べたくないから”とは限らない
離乳期の“べーっ”には、実は次のような理由が隠れています。
① まだ「飲み込みの準備」が整っていない
離乳食を口に入れると自然と舌で前に押し出す動きを
「舌突出反射(ぜつとっしゅつはんしゃ)」
といいます。
生後4~6ヶ月頃までは誰にでもある正常な反射で、
この反射が強く残っている子は、
反射としてべーっと出してしまっているだけなんです。
“やりたくてやっている”わけではありません。
② 食べ物の「触覚」が強すぎる
食べ物は大人以上に“刺激物”です。
敏感な子は
-
ザラザラ
-
粒々
-
冷たい・温かい
などの感覚が強く入りすぎることで
「うわっ!」と反射的に出してしまうことがあります。
これは感覚統合の“触覚過敏”の特性のひとつで、
決して好き嫌いの問題ではありません。
③ 姿勢が不安定で飲み込みづらい
姿勢が安定しないと、舌が正しく動かず飲み込みも難しくなります。
-
椅子で足が宙ぶらりん
-
首が反っている
-
骨盤が後ろに寝ている
こんな姿勢では、どんな子でも「べーっ」に繋がります。
赤ちゃんにとって“姿勢の安定”は最大の調味料です。
④ 口腔機能発達不全症の初期サインの場合も
早期離乳期から“べーっ”が頻繁に続く場合、
以下の特徴がみられることがあります。
-
舌の上下・前後運動が苦手
-
口唇の閉じが弱い
-
ゴックンに時間がかかる
-
食べ物が口の中にたまりやすい
これは
口腔機能発達不全症(哺乳・咀嚼・嚥下・発音などの機能のつまずき)
の初期段階でよく見られるサインです。
ただし“病気”というより、
「その子がまだ発達途中なだけ」
と理解してあげることがとても大切です。
2. 感覚統合の視点で見る“べーっ”の理由
感覚統合とは、
身体に入ってくる感覚情報(触覚・前庭覚・固有覚など)を脳で処理し、
うまく使える状態にする仕組みのこと。
食べることは
触覚(食べ物の感触)+前庭覚(姿勢の安定)+固有覚(口の動きの把握)
=超複雑な全身運動
です。
だからこそ、感覚の偏りがあると
“べーっ”が出てしまうのは自然なことなのです
触覚過敏タイプの子
→ 食べ物が「攻撃」に感じる
→ べーっと出して守ろうとする
触覚鈍麻タイプの子
→ 食感を感じにくい
→ ぼーっとしていて口から出てしまう
前庭覚が不安定な子
→ 姿勢がぐらつく
→ 飲み込みのタイミングがずれる
固有覚が弱い子
→ 舌や唇がどこにあるか分かりにくい
→ 上手に扱えず、食べ物を押し出す。
3. 今日からできる「べーっを減らす」やさしいサポート
難しいことはひとつもありません。
小さな工夫で、赤ちゃんの“食べやすさ”は大きく変わります。
① 姿勢を整える(最重要)
-
足が地面または台にしっかり着く
-
背中を軽く伸ばし、反らせない
-
頭は前に倒れすぎず、後ろに反りすぎずのニュートラル
姿勢が整うと驚くほど“べーっ”が減ります。
② 一口量を「ほんの少し」にしてみる
スプーン1/3〜1/2程度から始めると、
“舌の動きや飲み込み”が追いつきやすくなります。
③ 食具の形を変える
-
薄いスプーン
-
横から滑り込ませるタイプ
-
小ぶりで浅型
など、“刺激が少ないスプーン”を選ぶと食べやすくなります。
④ 食べ物の触覚を調整する
触覚が敏感な子には
-
よくすりつぶす
-
滑らかにする
-
少し温かくして刺激を弱める
逆に鈍麻の子には
-
少しだけざらつきを残す
-
温度差を活かす
などが効果的です。
⑤ 無理に口へ押し込まない
強制されると、
「食べる=怖い」
という経験になってしまいます。
その日の体調や気分も大切。
休み休みでOK。
一口だけでも立派な成長です。
4. “べーっ”をポジティブに見ると、関わり方が変わる
“べーっ”は、
その子の「今の状態」を伝えてくれる大切なサインです。
-
「まだ準備ができていないよ」
-
「その食感は苦手だよ」
-
「姿勢が崩れて飲み込みにくいよ」
こうした“メッセージ”を受け取ってあげるだけで、
保育者の心が少し軽くなり、
子どもも安心して挑戦できるようになります。
5. 保育者へ ― あなたの関わりは、もう十分やさしい
子どもが食べる姿を見て
「どうしてできないんだろう…」
と自分を責めてしまう方も多いでしょう。
でも、どうか覚えていてください。
食べられないのは、その子が悪いわけでも、あなたの関わりが間違っているわけでもありません。
その子が今必要としているのは、
ただ
“安心して試せる環境”
だけなのです。
今日できた一口。
昨日より5秒長く座れた。
そんな小さな進歩を、一緒に喜んでいけたら素敵です。
まとめ
離乳食を“べーっ”としてしまう背景には、
-
舌突出反射の残り
-
食べ物の触覚が強すぎる
-
姿勢が不安定
-
感覚統合の未熟さ
-
口腔機能発達不全症の初期サイン
など、理由が必ず存在します。
そしてその多くは、
責める必要がまったくない“発達の途中”です。
保育者の優しい視点と小さな工夫が、
子どもの“食べてみよう”をじんわり支えます。
焦らず、一歩ずつ。
まずはご相談ください。
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