【口腔機能発達不全症3】虫歯治療とまた違う小児歯科のアプローチ


【2023年9月25日 10:23 AM更新】

こんにちは

仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。

初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。

 

もくじ
①口腔機能発達不全症とは?
②どういったことが口腔機能発達不全症なの?
③口腔機能発達不全症だと何がいけないの?
④食べる機能の標準を知りましょう
⑤あくまでも機能的な因子によるものが保険診療の対象です。
⑥まずは子供の「食べること」「話すこと」で困ったらご相談ください

 

①口腔機能発達不全症とは?

口腔機能発達不全症という言葉をご存じですか?

2018年から保険診療に入った18歳までの子供について

「食べる」「話す」機能の問題がある障害のない子供を中心に

口の機能の発達という観点から遅れている子を改善していこうということで

保険診療に導入された比較的新しい病名になります。

2020年からは哺乳・離乳の中での問題も入るようになり、乳幼児から歯科治療が虫歯以外に口の発達に関わっていくということになりました。

 

②どういったことが口腔機能発達不全症なの?

先ほど話したように食べること話すことの発達の問題に大きく分けられます。

●食べる機能の発達

哺乳・離乳の時期であれば

・乳首をしっかり口に含めない

・授乳時間が短い・長い

・哺乳量・授乳回数にムラがある

・離乳食を開始しているが首の据わりが確認できない

・スプーンを舌で押す

・離乳が進まない

 

3歳以降であれば

・強く噛みしめられない

・咀嚼時間が長すぎる・短すぎる

・偏咀嚼がある

・乳児嚥下の残存が離乳完了後に見られる。

・食べる量、回数にムラがある

こういったことが該当すると口腔機能発達不全症の可能性があります。

 

●話す機能の発達

・口唇の閉鎖不全がある

・5歳以降で構音の障害がある

・口腔習癖がある

・舌小帯の異常がある

といったことが該当します。

 

他にも先天的な問題の歯の萌出が早すぎたり遅延があること、

また環境的な問題の機能的因子による歯列・咬合の異常、

口呼吸や口蓋扁桃の肥大、睡眠時のいびき

といったこともチェック項目に該当します。

 これらの中からチェックされた項目の内容や数によって「口腔機能発達不全症」という診断になるということになります。

 

③口腔機能発達不全症だと何がいけないの?

食べることに困っている、発音が聞き取りづらいけど困ってなければいいのでは?というお母さんもいあるかもしれません。またそれに対して指導とトレーニングをしていく中で何でそこまでしないといけないの?というお母さんも多いと思います。

 

 

 

それを知るには「口腔機能低下症」という言葉があります。

口腔機能低下症は、体で言う歩けない、肩が上がらないといったことのように、加齢とともに口の機能が落ちてきてうまく食べれない、話せないといったことに対する管理指導をしていくことも2018年から保険診療に入りました。問題は太田らが「地域歯科診療所における口腔機能低下の問題」という報告で調べたとろ

20歳から39歳の若い年齢の人にも約3割の口腔機能低下の人が見られたということです。こういった人たちは50代や60代の早い段階で食べたり話したりの機能が落ちたり、何らかの疾患で口を動かしにくくなった時にリハビリもうまくいかなくなる可能性が高くなる人たちということになります。

また口腔機能低下症は2023年現在では50歳以上の人しか保険診療の適応ではないので、こういった若い人たちの問題は適応外となります。

 

そして口腔機能発達不全症、子供たちの口腔機能を持ち上げる意味はこういった成人になってから60歳、70歳の口の機能になっているのを将来防いで、実際子供たちが高齢になったときにも食べたり話したりができるようにするということにもなります。

歩けなくなってから、動かなくなってから、運動を始めてもうまくいかないように、小さいころから運動をしたりして、基礎的な体力をつけるのが大事なように、小さいころから口の機能を正しく発達させることも大事になります。

 

そういった意味で考えると口腔機能発達不全症というのは、虫歯のように歯医者が削って治すといった治療ではなく、こちらで出した宿題を患者さんにしてもらう「お口の習い事」に近いものかもしれません。

 

④食べる機能の標準を知りましょう

では子供の食べる機能の標準はどこになるでしょう?

 

それはずばり「学校給食」です。

みんなで同じものを同じ量食べて時間内に間に合うか?

これでその子の口腔機能が標準より遅いかどうか、足りないかどうかがわかります。

家だと給食より食べやすい大きさや、少ない量でもそんなに時間がかからないから食べるのに困っていないとなりますが、給食になればその子には食べにくい大きさや、家より多い量が出てきて間に合わないのであればその子の食べる機能には遅れがあると思います。

 

 

また最近の学校給食では時間に間に合わない子供に量を減らすということもしますが、減らした量なら給食を時間内に間に合うといいうのはみんなが100メートル走るのに、自分は80メートルで走って同じタイムだから足の速さに問題ないというようなものになります。減らしてもいいのですが、家で量を増やせるようにしていかないといけません。

 

食べ物の好き嫌いも、そもそも嫌いなものを家で出さなければ問題がないようになりますが、給食で毎週どこかに嫌いなものが出る、食べれないものが出るようであればちょっと多いのかもしれないとなります。給食で月に一回くらいであれば、好き嫌いと言っても気にしないでいいと思います。

 

お母さんが気になるかどうかではなく、給食を通してみるとその子の口の機能の問題はわかりやすくなります。

 

⑤あくまでも機能的な因子によるものが保険診療の対象です。

例えば歯並びかみ合わせが悪くて噛めない、噛む機能に問題がある、聞き取りづらい言葉があるという場合は口腔機能発達不全症の対象外となります。つまりそういったものは自由診療の矯正治療の中で行っていくものになります。

 

口腔機能発達不全症は歯並びや歯列に問題があっても、機能的なアプローチで機能がよくなるものが対象になります。

 

開咬開口オープンバイト

例えばこういった、前歯がかみ合わないかみ合わせで噛めない、うまく発音できないといったものは口腔機能発達不全症の適応外となり、自由診療の矯正治療の適応です。

この場合歯並びが改善していく中で、前歯が当たるようになり、そこから食べる訓練や、発音の訓練が始まります。

 

⑥まずは子供の「食べること」「話すこと」で困ったらご相談ください

今までの小児歯科のお母さんのイメージは

虫歯を治すところ、そのためにフッ素を塗るというイメージだったと思います。

しかし2018年から保険診療に口腔機能発達不全症が入ったことで

離乳から食べることを覚えていく中で、食べること、話すことの問題が小児歯科の保険診療の範囲となりました。

 

まずはそのようなことで困ったらご相談ください。

口腔機能発達不全症は必要な項目がありますが、該当する場合は適応になります。

また歯並びやかみ合わせの問題などある場合は、ただ歯科クリニックでは矯正治療の中で機能改善の指導も同時にいっていきます。

 

 

注意事項

*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。

*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。

*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。




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