小児歯科お悩み相談室【1】1. 歯並びが乱れにくい子に共通する“生活リズム”とは?


【2025年11月29日 8:00 PM更新】

こんにちは

仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。

初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。

 

こんなお悩みないですか?

「歯並びは遺伝で決まるんですよね?」
「毎日気をつけているのに、なぜか口がポカンと開いてしまう…」
「今の生活で大丈夫なのか、自分の育児が間違っていないか不安になる」

小児歯科の現場では、25〜45歳のお母さんからこんなお悩みをたくさん伺います。

最初にお伝えしたいことがあります。

歯並びは“生まれつき”より、“生活リズム”の影響のほうが圧倒的に大きい。
しかも、その多くは お母さんの努力や子育ての仕方とは関係がありません。

つまり、
「今から変えられること」がほとんど なのです。

この記事では、小児歯科医として長年子どもたちの成長を診てきた経験から、

  • 歯並びが乱れにくい子に共通する生活リズム

  • なぜその生活が“歯並び”に関係するのか

  • 今日から家庭でできる実践ポイント

を、できるだけ専門的すぎない言葉で、お母さんの不安を否定しない優しい視点でまとめました。

■ 1.歯列の成長は「歯」ではなく「生活」が作る

まず押さえておきたい大前提です。

◎ 歯列の成長を決めるのは “お口を動かす筋肉と、鼻・姿勢・睡眠などの生活の積み重ね”

人の歯並びは、食べることや言葉を発すること、また全身の発達と連動した「生活」 によって、少しずつ形作られます。だからこそ、「自然に歯並びが整いやすい子」には、必ずと言っていいほど 共通点 があります。

■ 2.歯並びが乱れにくい子に共通する“生活リズム” 5つのポイント

では、その共通点とは何でしょうか?

理由とともに、小児歯科医の視点から丁寧にお話しします。

① 鼻呼吸ができている

歯並びに一番大きな影響を与えるのが「呼吸のしかた」です。

▼ 鼻呼吸の子は歯並びが整いやすい

なぜなら、鼻呼吸のときの舌は 上あごの天井(口蓋)に自然にくっつく からです。
この舌による“支え”が、上あごを広げる力になり、正しい成長を引きだします。

逆に、口呼吸の子は舌が下がりやすく、上あごが横に広がりにくくなり、歯列不正になるリスクが高まります。

▼ 鼻呼吸が育っている子の生活リズムの特徴

  • 睡眠のリズムが比較的整っている

  • 寝る前のスマホ・動画習慣が少ない

  • 長時間うつ伏せや猫背にならない

  • 鼻の詰まりが慢性化していない

“鼻呼吸は生活の整い具合とリンクする” というのがポイントです。

② 姿勢が安定している(体幹が強い)

「姿勢が歯並びに関係あるの?」
と驚かれるお母さんが多いのですが、実はとても深く関係しています。

▼ 姿勢が良い子は、舌の位置が安定しやすい

姿勢が崩れると、
・頭が前に出る
・首が後ろへ反る
・背中が丸くなる

こうした姿勢は 舌が喉側に下がりやすい ため、

  • 口呼吸

  • ポカン口

  • 嚥下の発達の遅れ

を引き起こします。

一方、姿勢が安定している子は舌が上がり、
自然と歯並びが乱れにくくなります。

▼ 歯並びが整いやすい子の“体の生活リズム”

  • 歩く・走る・登るなどの全身運動が自然に多い

  • 長時間の動画視聴が少ない

  • 食事のときに椅子の高さが合っている

  • 足がブラブラしない高さでご飯を食べている

日常の“姿勢をつくる時間”が歯並びに直結します。

③ 噛む回数がしっかりある

噛む力は、顎の成長に直接作用する“骨のスイッチ”です。

▼ よく噛むことで…

  • 顎が横に広がる

  • 顎が前に育つ

  • 舌の動きが育つ

  • 唇の力も強くなる

つまり 歯並びの土台が成長する のです。

逆に、現代の食事は柔らかく、
噛む回数が少ないまま成長してしまう子が増えています。

▼ よく噛む子に共通する食事のリズム

  • 食事の時間が一定

  • 早食いではない

  • 座って落ち着いて食べられる

  • おやつがダラダラ続かず “時間を決めている”

この「時間とリズム」が噛む力を育てます。

④ 唇が自然と閉じている(口がポカンと開いていない)

唇が閉じているということは、
その内側にある 舌・頬・顎の筋肉のバランスが整っている というサインです。

▼ 唇が閉じる → 歯並びの安定につながる理由

  • 顎が前に育ちやすい

  • 舌が上あごにつきやすい

  • 口呼吸を防ぐ

  • 取り込み飲み込みのクセが減る

逆に、常に口が開いている子は
“口元の筋肉が休みすぎている”状態です。

▼ 唇が閉じやすい子に共通する生活リズム

  • しっかり寝ている(疲れが溜まりにくい)

  • 水分補給が適度でだらだら食べが少ない

  • 姿勢が整っている

  • 食べるときの姿勢が安定している

つまり、「お口が育つ生活」と「体が育つ生活」は重なっています。

⑤ 睡眠のリズムが安定している

「睡眠」と「歯並び」が関係しているなんて、意外に思いますよね。

しかし小児歯科の成長データでは、
睡眠不足・寝る時間が遅い子は歯並びが乱れやすい ことが分かっています。

▼ その理由は…

  • 寝不足 → 口呼吸になりやすい

  • 口呼吸 → 舌の位置が下がる

  • 舌が下がる → 顎が育たず歯が並ばない

  • 睡眠時の姿勢が悪くなる → 顔の成長方向がずれる

このように、睡眠は間接的にお口の発達に大きな影響を与えます。

▼ 歯並びが整いやすい子の睡眠リズム

  • 就寝時間が比較的安定

  • 朝の起きる時間も一定

  • 寝つきがよい

  • 寝る前のテレビ・スマホが短い

  • 枕や寝具が体に合っている

「よく眠れる子=歯並びが育つ子」というのは、
実はとても理にかなっています。


■ 3.では、どうやって生活リズムを整えていけばいいの?

ここからは、お母さんが“今日から”できて、かつ 負担にならない方法だけ を紹介します。

① 食事中の姿勢を整える ― 歯並びに一番効くポイント

椅子の高さが合わない、足がブラブラしている、机が高すぎるだけで、「噛む」も「飲み込む」も大きく変わります。

▼ すぐできる対策

  • 足がしっかり床(または台)につくようにする

  • 深く座りすぎず、背もたれに頼りすぎない

  • 机は肘が90度になる高さに調整

  • 食事中に姿勢が崩れたら“優しく座りなおす”

姿勢は「しつけ」ではありません。
環境を整えたら自然に安定する ものです。

② 鼻呼吸をしやすい生活に変える

鼻呼吸は意識ではなく“環境”で決まります。

▼ すぐできること

  • 寝室の湿度を40〜60%に整える

  • 寝る前の動画を減らし、副交感神経を優位に

  • 日中に外遊び・歩く時間を少し増やす

  • 食事のときはしっかり噛む食材を入れる

  • 鼻詰まりが長引くときは小児科・耳鼻科に相談

③ ダラダラ食べを減らす(お口の筋肉を守る)

ダラダラ食べは、

  • 唇が閉じない

  • 舌が前に出る

  • 噛むリズムが乱れる
    など“歯並びが乱れやすい生活”につながります。

▼ 無理なくできる工夫

  • 時間を決めてメリハリをつける

  • おやつは「食事と食事の間」に固定

  • 水かお茶で水分補給

これだけで歯並びのリスクがぐっと減ります。

④ 寝る前のルーティンをつくる(睡眠の質があがる)

ルーティンは“自律神経を整えるスイッチ”です。

例)

  • お風呂

  • パジャマ

  • 絵本

  • 消灯

これだけでも鼻呼吸がしやすくなり、
睡眠の質があがり、
結果として 歯並びの安定につながる のです。

■ 4.“努力ではなく、リズム” が歯並びをつくる

ここまで読んでいただいたお母さんに、最後にどうしても伝えたいことがあります。

歯並びの良し悪しは、お母さんの育児のせいではありません。

歯並びを整えるのは、「気をつける」ことではなく「生活リズムの積み重ね」です。

そして生活リズムは、
完璧じゃなくていい。気づいたところから少しずつで十分。

お母さんのちょっとした工夫が、お子さんの一生の歯並びの土台になります。

小児歯科医として、あなたの不安を取り除き、必要なときに正しい方向を示すことはできます。
でも、日々のお子さんの成長を見守り、支えているのは他でもない“あなた”です。

どうか、自信を持ってください。

これからも小児歯科の視点から、あなたの育児を優しく支える情報をお伝えしていきます。

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注意事項

*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。

*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。

*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。




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