偏食が治らないのはワガママじゃない。(感覚統合 × 口腔機能からやさしく理解する【2】)


【2025年12月3日 8:00 PM更新】

こんにちは

仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。

初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。

 

こんなお悩みありませんか?

「うちの子、全然食べない…」
「初めての食材を絶対に口に入れようとしない」
「食べられるものが少なくて心配」

子どもの“偏食(選り好み)”は、多くのお母さんの悩みです。
そして同時に、誰よりもお母さん自身が
「私の育て方が悪いのかな…」
と、胸のどこかで自分を責めてしまうテーマでもあります。

結論を最初にお伝えします。

 子どもの偏食は、ワガママではありません。

◎ しつけの問題でもありません。
◎ 口の発達と“感覚の特性”が関係していることがとても多いのです。

私は歯科医師として、これまで非常に多くの「食べない子」「偏食の強い子」を診てきました。
その経験からも、
叱って治る偏食は存在しない
と言っていいほどです。

なぜなら偏食は子どもの「感覚」と「口の発達」の状態を映す鏡だからです。

この記事では、

  • 偏食になる本当の理由

  • 感覚統合(触覚・味覚・嗅覚・固有感覚)が偏食に与える影響

  • 家でできる優しいアプローチ

  • 偏食の子が安心して食べられるステップ

これらを 丁寧に、優しい言葉で 解説していきます。

あなたの育児を責めるものではありません。
読んでいただくことで、「だからうちの子は食べられないんだ」と、新しい視点を持ってきっと心が軽くなるはずです。

1. 偏食は“性格”ではなく、発達と感覚の問題

まず知ってほしいのは、〈偏食は性格やわがままではなく“身体の発達の段階”〉という視点です。

たとえば…

  • 柔らかい物だけ食べられる

  • カレーやラーメンなど“味が混ざった料理”だけ食べる

  • ひと口サイズの野菜を避ける

  • 口に入れてすぐに出してしまう

  • 固形物が増えると食べない

  • 初めての食べ物に強い拒否

これらはすべて、口の感覚と運動の発達がまだ不十分なサインです。

つまり、本人の意思や性格とは関係ありません。

2. 偏食に強く関わる4つの“感覚”

偏食の背景には、以下の感覚の発達が深く関わっています。

  1. 触覚(口の中の感覚)

  2. 味覚(甘味・旨味・苦味・酸味への反応)

  3. 嗅覚(においの敏感さ)

  4. 固有感覚(噛む力の調整)

お子さんが「これ食べたくない」「食べられない」と感じているとき、実は“感覚のハードル”にぶつかっていることがほとんどなのです。ひとつずつ、解説します。

① 触覚が過敏・鈍麻(どんま)の子は、食感が難しい

触覚は、口の中の“センサー”です。べたつき、ツルツル、皮付き、繊維、粉っぽさ、こうした食感を「強く感じすぎる」のが触覚過敏、「感じにくい」のが触覚鈍麻です。

●触覚が過敏な子が食べられない理由

  • 舌に触れた瞬間に“危険”と判断してしまう

  • 初めての食感に強いストレスを感じる

  • 想像と違う食感が苦手(例:プリンがゆるい、野菜が筋っぽい)

  • 口の端に触れた時点で拒否反応が出る

これはまったくワガママではなく、
「その刺激に耐えられない」だけなのです。

●触覚が鈍麻な子が偏食になる理由

一方で、感覚が弱いと

  • 柔らかい物が“どこにあるか”分かりにくい

  • 舌でまとめられず食べづらい

  • スムーズに噛めずストレスになる

  • 食べているのに“満足感”を得られない

結果として、固くて噛み応えのある食材だけを好むという偏食に発展することがあります。

② 味覚が過敏な子は「初めての味」を怖がる

味覚過敏の子は、

  • 苦味・酸味に強く反応する

  • 調味料のわずかな違いも敏感に感じる

  • 味の“混ざった料理”が苦手

  • 味が濃いと辛く感じる

  • 少量の香辛料でも拒否

たとえば、大人が「少し薄味かな?」と思って作った料理でも、子どもにとっては「しょっぱい」「酸っぱい」可能性があります。つまり、「初めての味」=怖い経験になりやすいのです。

③ 嗅覚の敏感さは、偏食の大きな原因のひとつ

嗅覚が鋭い子は、食べる前に“におい”で判断します。

  • 「このにおい苦手…」→口に入れる前に拒否

  • 温かい料理の蒸気が苦手

  • 野菜の“青臭さ”を敏感に感じる

  • 加工食品のにおいが嫌い

においは、味覚よりも先に脳に伝わる感覚です。

だからこそ、においがダメ=その食材すべてが“危険”という認識になりやすいのです。でもそれが悪いわけではありません。昔はちょっと賞味期限が切れていても匂いを嗅いで「大丈夫」なんて言われて出されたことなかったですか?現代社会では「敏感」とらえられるけど、本来は食べていいものとダメなものを分けるために大事な危険回避の機能なのです。

④ 固有感覚の問題:噛む力の調整が苦手だと偏食が強くなる

固有感覚とは、
「どのくらい噛めばいいか」「どれくらいの力が必要か」
を教えてくれる感覚。

ここが未熟だと、

  • 固い物を噛むのが怖い

  • ペースト状の物が飲み込みにくい

  • 小さく切った食材でも噛み切れない

  • 噛んでいるうちに疲れる

結果として、“食べにくい=食べたくない”という流れになり、偏食はさらに固定化します。

3. 偏食は「家でのやり方」で改善できます

偏食の改善には“感覚を育てる環境づくり” がとても効果的です。

「叱る」「無理やり食べさせる」必要は一切ありません。
むしろ逆効果になることが多いです。

ここからは、
お母さんが家で気軽にできる
“優しいアプローチ”を紹介します。

4. 今日からできる。偏食を改善する“優しいステップ”

① 食べる前に“口の準備”をする

食事前の30秒でOK。

  • ほっぺをプクッと膨らませて左右に「たこ焼きを作る」

  • 唇をパッとつまんで離す

  • 舌を上下左右に動かす

これで触覚が目覚め、“食べ物の刺激”を受け入れやすくなります。

② いきなり新しい食材を出さなくていい

新食材は「見せる → 触る → 匂いをかぐ → 舐める → ひとかじり」という順番で、安全性を確認していきます。これは“感覚の慣れ”であり、決して甘やかしではありません。

③ 味より“におい”を先に調整する

嗅覚過敏の子には、

  • 料理を冷ましてから出す(蒸気=においの刺激)

  • 香りの強い食材は離乳期からゆっくり慣らす

  • 新しい食材は匂いだけ確認して終わってOK

“においの刺激”を弱めるだけで、口に入れられる確率がぐっと上がります。

④まずは「一緒に食卓に出す」だけで◎

無理に食べさせなくて大丈夫です。

その食材がテーブルの上にあり、あなたが食べている姿を見るだけでも、脳の「安全判断」が働きます。

⑤ 遊び・外遊び・姿勢が偏食改善のカギ

え?食事と関係あるの?と思われるかもしれませんが、あります。

外遊びは
嗅覚・触覚・体幹・固有感覚が一度に育つ最高の活動です。

ブランコ、滑り台、砂遊び、ボール遊び、鉄棒・・・いつも遊んでいるこれらはすべて“食べるための身体づくり”になります。

5. 偏食で悩むお母さんへ ― それは育児の問題ではありません

偏食は、
「食べようとしない」問題ではなく
“感覚と発達が追いついていない”だけの状態

であることがとても多いです。

そして子どもは、
ちゃんと成長しようとしている途中です。

  • 怒らなくていい

  • 無理に食べさせなくていい

  • 完食しなくてもいい

  • 同じ食材が続いてもいい

大切なのは、「食べられる量」ではなく「食べる経験」です。

偏食は、あなたのせいでも、子どもの性格のせいでもありません。

ただ、その子が持つ感覚と成長のペースが、今そこにあるだけ。

そのペースに寄り添ってあげることで、子どもは必ず「食べられる世界」を広げていきます。

の発達は全身の発達とつながっています。
それを知ることで子供を引っ張る子育てから背中を押して成長を助ける子育てに変わります。

 

 

まずはご相談ください。

こういった定型児の「食べる」機能の問題がある子供の一部は2018年から「口腔機能発達不全症」という病名で保険診療での治療の対象になることがあります。ただし、歯並び・かみ合わせの問題がある場合、矯正治療と同時に行うのは混合診療になるので、当院では矯正治療を行う場合は、矯正治療の中で指導をしています。また発達障害等の症状がある子供にはより専門的で細やかな介入や指導が必要になることがあります。

 

矯正の無料相談を行っています。(要予約)

無料相談では費用や期間だけでなく、患者さんの現在の今の状態、なんでこうなってしまったのか?そういったことを話します。矯正の無料相談は、診療日のどの時間でも対応していますが、必ず予約して来院してください。

 

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無断でのキャンセル・何回も予約を変更するなどがあった場合お断りすることがあります。

 

 

注意事項

*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。

*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。

*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。




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