【2021年9月7日 5:30 PM更新】
こんにちは
仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。
初めての方はブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。
今日は口腔機能発達不全症についてのお話です。
もくじ
①口腔機能発達不全症という言葉を聞いたことありますか?
②今まで歯科医院に聞けなかったちょっと気になることが対象になります。
③子供たちの「今」ではなく50年後の姿を考えます。
④20~30代で3割の人が口の機能に問題があります。
⑤問われるのは「食べる機能」の質です
⑥まずは歯科医院にご相談ください
①口腔機能発達不全症という言葉を聞いたことありますか?
口腔機能発達不全症とは「食べる機能」「話す機能」「嚥下(飲み込んだりする)機能」ほかにも口呼吸やいびき、扁桃腺の肥大など口の中の機能が十分に発達していない、機能の獲得ができていない子供たちに専門家の介入が必要とされる子供たちのことを言います。
2018年の保険診療から導入をされ、その時に病名としてついたのが「口腔機能発達不全症」という言葉です。「う蝕」や「歯肉炎」と同じような言葉です。
②今まで歯科医院に聞けなかったちょっと気になることが対象になります。
例えば「食べる機能」のところでは虫歯や歯並びのような今までの歯科医院でも見てた項目以外に
・強くかみしめられない
・食べる時間が長すぎる・短すぎる
・片側で噛む(偏咀嚼)
・飲み込むときにベロが前に出る(幼児型嚥下)
・食べる量が多すぎたり、短すぎたりムラがある
といったことがチェックされます。
また「話す機能」では
発音の問題や、ポカン口、指しゃぶりなどの悪習癖といったこと
他にも口呼吸や睡眠時のいびき、扁桃の肥大や、やせや肥満の体系といった事もチェック項目に入ってきます。
これらの中から該当項目が必要以上あれば「口腔機能発達不全症」として継続的な管理が必要になるということです。(1つ気になることがあるといっても保険診療の適用にはなりません)
ただいままで子供が歯科医院で通う理由としては
「虫歯」や「歯肉炎」、「歯並び」といったこと以外の、こちらからも指導をしても評価にならなかったり、お母さんとしても気になっていたけど歯医者さんに聞いていいのかな?と思っていたことが、しっかりと病気として対象になったわけです。
また2020年からはこれに哺乳や離乳での問題も保険診療として評価されるようになりました。
③子供たちの「今」ではなく50年後の姿を考えます。
ただこれらの問題、例えば子供の口がぽかんと開いている、子供が食事の時大変そうといっても
虫歯のように「痛い」わけでもないですし、
歯並びのように見た目の問題でもありません。
「口腔機能発達不全症」の導入には「口腔機能低下症」という言葉を知ることが大事になります。口腔機能低下症というのは高齢になってくると口の機能が衰えてきてうまく話せなくなったり食べれなくなったりといった問題が出てくることを言います。
これらは老化の減少の一つとしてある程度年齢が上がってくると怒ってくるのですが、小さいころからの口腔機能の発達がしっかりできなかった子供たちというのはもともとの機能が弱いので、うまく話せなくなったり食べれなくなったりするのが普通の人よりも早く起こり深刻になってきます。そういったことを防ぐために小さいころに正しい口の機能を獲得しましょうというのが「口腔機能発達不全症」が導入された背景になります。
つまり今食べるときに苦戦している、話すと舌足らず、口がぽかんと開いている、寝ているといびきをかくような子供たちは将来早い段階で、食べるのが難しくなったり、話すのが難しくなったりするということです。
④20~30代で3割の人が口の機能に問題があります。
太田らの「地域歯科診療所における口腔機能低下症の割合」では
このような成人での口の機能に問題がある人たちがチェックされました。例えば60代では60%
70代では80%以上の人が何らかの機能の低下がみられます。その一方で20~39歳の中でも3割の人に口腔機能の問題がみられました。これらの人たちは将来的に機能の問題が多くなりその症状は悪くなっていく可能性があります。NHKの番組でもこの割合は衝撃的に取り上げられてました。
20~30代で歩くとすぐに疲れて息切れしてしまうような人がそのまま年を重ねたら、将来的に40~50台で歩くのが大変になってくるがイメージできると思います。そうなってから散歩とか初めても、なかなか改善できなくなり、もっと年齢が上がればさらに歩くのが大変になってきます。
口の機能も後で悪くなってから、食べたり飲み込んだり、話したりするのが難しくなってからでは改善が困難になることがあります。そのために子供の段階で正しく発達できていない子供を持ち上げる必要があるのです。
食べるときにうまく呑み込めない子供は、早い年齢から食べるとむせるようになったりしてうまく食べられなくなってしまうことが考えられます。
⑤問われるのは「食べる機能」の質です
どうしても子供の食事は食べたか?食べてないか?を見てしまいます。
でも口腔機能の発達で問われるのはどうやって食べたか?です。
栄養学的にはあんまり包丁を入れなくても、ミキサーでドロドロにしても
食べてくれたらそれは同じ栄養を摂取したことになります。
しかししっかり噛んで食べなければ、例えば顎の成長が正しくできないので歯並びに問題が出てきたりするといったことが起こります。噛めない子供の歯並びだけを矯正治療で治療しても、噛めない本人には使いづらい歯並びなので結局は噛めないなりの歯並びに戻って行ってしまいます。
左は離乳食で右側は介護食です。ペースト状にしているのはどちらも同じです。乳幼児はここから少しずつ食形態を変えていき食べる質を上げていくのに対して、介護では徐々に食形態を落としていくことでむせたり食べれなくなる人に合わせていきます。
じゃあ子供の場合どこまで食べる質を上げるのか?というと
給食になります。
小学校の給食は、同じものを同じ量で同じ時間に食べるので、食べる機能がどこまであるか?の一つの指標になるわけです。例えば給食の時間で食べ終わらないとなると、量を減らすことができます。そうすることで同じ時間に食べ終わることができますが、他の子より何か食べることで足りないことがあるその子の問題は隠されたままです。
よく「好き嫌いのない子供になってほしい」とお母さんは言いますが、じゃぁどこまで好き嫌いがなければいいか?全く好き嫌いがないとだめなのか?となると、給食で月に1~2個ぐらい苦手なものがあるのはいいと思いますが、週に何回か嫌いなものがあり残してしまうというのであれば問題だと思います。
口腔機能発達不全症を治したいですか?と聞かれたら「なんだかよくわからないな」とほとんどのお母さんは答えると思います。その子の50年以上先に困ることなんだよと言われてもイメージがわかないかもしれません。でも給食で苦戦してしまうような口の機能、食べる質、といった問題と考えると「うちの子供もそうかもしれない」とか「実は困っていた」という人も出てくると思います。
⑥まずは歯科医院にご相談ください
小児の口腔機能発達不全症は2018年から保険診療に導入されたので一般の歯科医院でも診ることができます。ただしどこの歯科医院でも算定しているかというとそうではありませんのでご注意ください。また様々な診断項目がありそれに該当した場合しか保険診療では対応ができません。来院頻度や間隔もルールで決まっている中で行うようになっています。
また注意していただきたいのは、こういった子供で歯並びの問題がある場合、自由診療の矯正治療と併用していくことは混合診療になってしまう恐れがあります。当院でもこういった機能に問題がある子供の多くは歯並びの問題があり矯正治療を行うかどうかまず決めてもらったうえで、矯正治療を行う場合はその中で指導をさせてもらっています。
ただ歯科クリニックでは矯正治療の無料相談をしています。
無料相談では費用や期間だけでなく、患者さんの現在の今の状態、なんでこうなってしまったのか?そういったことを話します。矯正の無料相談は、診療日のどの時間でも対応していますが、必ず予約して来院してください。
ただ歯科クリニックの床矯正を行っています。
6~7歳の前歯の生え変わりの時に治療を開始すると、お子さんの成長する力を利用できて歯を抜かずにスペースを作ることができます。取り外しの床矯正は家にいるときと寝ているときに装置をつけてもらうので、学校での生活に負担をかけないで矯正治療をすることができます。
床矯正は9~10歳の犬歯の生え変わりが始まるまでにスペースを作って前歯を並べられるかが成功のポイントです。
ただ歯科クリニックは一般社団法人 日本床矯正研究会の会員です。
お子さんの歯並びが悪くなる癖や呼吸、食事などの生活の問題があります。きれいな歯並びを願うお母さんの思いだけでは正しい発育はできません。問題は口がぽかんと空いている子供に「口を閉じなさい」といっても解決しない様々な間問題が絡み合った複雑なものです。
子供の歯並びを悪くする癖・生活・食事について考えてみませんか?
注意事項
*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。
*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。
*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。
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