【2019年4月9日 6:00 PM更新】
こんにちは
仙台市泉区・富谷市からも近い ただ歯科クリニックです。
初めての方はブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。
今日は小学生になっても赤ちゃんと同じことをしていたらどう思いますか?ということです。
もくじ
①赤ちゃんの舌動かし方、歯が生えてからの舌の動かし方
②正しい舌の動かし方を覚えないと歯並び・かみ合わせの問題の原因になります。
③こういった舌の機能の発達の問題は「口腔機能発達不全症」という病気です。
④ただ歯科クリニックでは「母親教室」を始めました。
①赤ちゃんの舌動かし方、歯が生えてからの舌の動かし方
まだ歯がない赤ちゃんは舌を前後に動かして母乳を吸います。この時にも母乳や人工乳どっちでもいいのですが、正しく舌を使って吸わせることが大事です。あまり舌を動かさないで飲んでいるとこの時点で舌が使えなくなります。
その後前歯の乳歯が生えてくると、舌を前に動かすのを止めて横に動かすようになります。このころまだ奥歯の乳歯が生えていないのですが、離乳食は前歯で噛んでいるのではなく、横に動かしている舌と奥歯が生えてくるところの歯ぐきで噛んでいます。この時もしっかり舌と歯ぐきで噛む練習をしているのか?丸のみをしているのか?で舌の動きは大きく変わります。
そして奥歯の乳歯が生えてくると、舌は横に動かすのをやめて上に上げるようになっていきます。3歳くらいの乳歯がしっかり生えてきたときには、ごっくんとつばを飲み込むと写真の赤丸の位置上の歯よりも、もっと奥の歯ぐきに舌の先が当たるようになっていき正しい機能の獲得となります。
この赤ちゃんからの授乳から離乳の流れ中で正しい機能を獲得できなかったために、正しい成長ができなくなり、6歳前後の前歯の生え変わりで歯並びの問題を抱えてしまう子供たちがとても多いように思われます。
小学生になっても、ごっくんとつばを飲み込むと舌が前に出てくる子供たちというのは、動きは赤ちゃんの舌の動かし方と一緒なので、実際にはやりませんが「歯を全部抜いたらまだ上手におっぱいが吸える子供たち」ということになります。
②正しい舌の動かし方を覚えないと歯並び・かみ合わせの問題の原因になります。
正しい舌の使い方ができないと、歯並びやかみ合わせが悪くなる原因になります。
まずは舌を正しく上に上がることで、上の歯列は舌が入るように広がっていきますが、いつまでも前に出している動きをしていると上の顎へ刺激が行かないので、上の顎の劣成長の原因になります。
小さい上の顎に合わせて、下の歯列も小さくなってしまうと過蓋咬合といって深いかみ合わせの乳歯の歯並びになったりします。
ガチっと噛み合ったときに本来3/2くらいは見えているはずの下の歯が見えなくなります。過蓋咬合、かみ合わせが深い子供たちは下の歯が半分以上隠れて見えなくなります。乳歯の過蓋咬合はこういった小さいころからの機能の獲得の問題で起こります。
一方劣成長の上の顎に対して、下の顎が普通に成長すると上下の歯列のアンバランスが生まれます。その結果として反対咬合・受け口といったことが起こります。
よく乳歯の反対咬合・受け口をこの時期から治療をするか?しないか?という議論がありますが、そもそも正しい機能を獲得できていない、成長と発達の問題があるのであれば歯並び以前にそこにアプローチをしないといけません。
また前に出てくる舌の力がかなり強い子供は、前歯に隙間ができたり、開口と言って上下の歯が噛まなくなったりします。こういった舌の機能の問題で歯並びが直接的に悪くなると、どこかのタイミングで矯正治療をしても動きづらくなりますし、終わってからもまた舌に押されれば後戻りを起こしてしまう不安定な状態になります。矯正を始めてからもしくは最中に同時に治すのではなく、そもそも歯並び以前にこの悪い癖を改善する必要性があると思います。
③こういった舌の機能の発達の問題は「口腔機能発達不全症」という病気です。
こういった他の子供が3歳でできていることが、正しくできていことをそのままにするというのは正しい成長と発達をさせない原因の一つです。
2018年の保険診療からこのような正しい機能の発達と、成長ができない子供たちに「口腔機能発達不全症」という病名が付くようになりました。今日話した舌の突出、正しく動かせないのも評価項目にあります。また舌が上に上がらないことで、正しい飲み込みができていないと、食事をしても丸のみで噛まないでしまうか、飲みこめなくていつまでも噛んでいたり、舌の位置が不良になることで口呼吸の原因になったりします。
そういった子供は寝ているときも口を開くようになり、上にがらない舌が気道をふさいでいくと「いびき」になったりします。
こういったことも「口腔機能発達不全症」の評価項目になります。
つまり口の機能が正しく発達できていない子供ということです。歯並びもこういった機能の問題から起こることで、「今の歯並びがきになるかどうか」「わざわざ乳歯の時から矯正をしなくてもいいのではないか」といったことの前にまずは機能問題があるということを知らなければいけません。
まして「そのうち治るかもしれない」「まだ様子を見よう」と思ってもそもそもただし方向に成長できる可能性は低いわけです。
④ただ歯科クリニックでは「母親教室」を始めました。
「口腔機能発達不全症」としては3歳以上から対応することができます。(追記:2020年より哺乳・離乳の一部の問題に関しても算定可能)しかしその多くは3歳で問題が起こるわけではなくその前段階から起こるものです。ただ歯科クリニックではそういった早い段階からの正しい成長と発達の獲得のために母親教室を行うことにしました。
「0から1歳半コース」では
妊婦から1歳半までのお子さんをお持ちのお母さんを対象に
・正しい抱っこの仕方
・正しい哺乳の仕方
・ズリバイやハイハイの大切さ
・離乳のポイント
等を中心に話をしていきます。実際「こういった哺乳瓶がいいですよ」とか「離乳の時にはこのスプーンがいいですよ」といったこともお話します。
「こうしないといけない」というよりも「これはやってはいけない」を知ることで間違ったアプローチの結果、正しい成長ができなくなることを予防することを目的にしています。どうしても歯医者には歯が生えてから、虫歯ができたらという考え方が多いように思いますが、もう保険診療としても機能の問題というのは病気としてみないといけないものとなりました。
「むし歯」という病気に対しても、歯に穴が開いたら、痛くなってから歯医者に行くのではなく、その前の段階で管理を行っていくように、「口の機能の発達」ということに関しても早い段階から予防を考えていくようになればいいなと思います。
実際小児の矯正をすると、小学校の頃に矯正を始めても機能的な問題がそれほどない子供たちは、歯並びを治すというよりもこちらからいい刺激を与える、ちょっと方向性を変えていくだけで正しい成長をしていきます。
一方で歯並びの問題と機能の問題を抱えている子供は、治療の経過が悪かったり、新しく生えてくる歯に問題が出てきたり、治療が終わってもまた悪くなったりして不安定になったりします。
子供の矯正治療を「歯並び」という観点だけで見てしまうと、気になるかどうか?でやるやらないが決まってしまいますが、そもそも様々な成長や機能の獲得の問題の中の一つとしての歯並びと考えると矯正治療は置いておいて、そこに目を向ける必要があるのではないかと思います。
「口腔機能発達不全症」と「歯列不正」は別な病態ではありますが目指すゴールが同じであるために混合診療となる可能性があります。ただ歯科クリニックでは矯正治療を行っている子供達には治療の一環として機能改善も行い、保険診療は同時には行っていません。
母親教室については下のリンクから飛んでください。
ただ歯科クリニックでは口元からの正しい機能の発達と発育、虫歯予防等を中心とした0~3歳までの母親教室をしています。0~1歳半コースは5/24、7/26、9/20、11/22、1歳半から3歳コースは6/21、8/23、10/25、12/6を予定しています。どちらのコースも12:30~で45分くらいを予定しています。受け付けはメール相談のところからのみで、電話等での質問や予約などは受け付けておりません。
詳しい内容は:母親教室のお知らせ
予約・質問は:メール相談から
お願いします。
注意事項
*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。
*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。
*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。
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