【2023年7月20日 12:00 PM更新】
こんにちは
仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。
初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。
今日は最近よく話題になるコロナ禍で子供がマスクをするようになって口呼吸が増えたかどうかということについてのお話です。
もくじ
①口呼吸とは
②口呼吸の何がいけないのか
③コロナ禍のマスクで口呼吸が増えたという話が最近出てきました。
④では口呼吸の子供はコロナ禍で増えたのか?
⑤口を閉じれば口呼吸が治る…のではない。
⑥簡単にわかる口呼吸かどうかのチェック
⑦マスクを外したから口呼吸が鼻呼吸になることはない!
①口呼吸とは
口呼吸というのは当たり前ですが鼻で呼吸しないで口で呼吸をしていることになります。本来であれば鼻呼吸が正しい呼吸といわれていて、口で呼吸は補助的な呼吸といわれており、同じように息を吸っていても発生学からの組織的なものやそのメカニズムは大きく違っています。
また小児の場合口呼吸は
①鼻に原因の疾患があり歯の呼吸が難しいため口で呼吸している子
②歯並びやかみ合わせが悪いために口が閉じられなくて口呼吸になった子
③①や②のような原因がないけど習慣的に口での呼吸をしている子
に分けられます。
例えば鼻に疾患があれば耳鼻科に言って治療を行うべきですが、よくなったから鼻呼吸になるかというとそうでもありません。鼻が悪い中で習慣的に口呼吸になっているのであれば①→③に移行した状態となりトレーニング等が必要になることもあります。
また、花粉症の季節だけ鼻詰まりがあってその時に口呼吸をしていたせいで、花粉症がない時期も口呼吸をするようになったといったこともあります。
②口呼吸の何がいけないのか
口呼吸の問題としては
歯科的には
1:口の中が乾燥気味になるので子供は
虫歯になりやすく、歯ぐきが腫れて歯肉炎になりやすい
2:また口の機能の発達が遅れている傾向があり口腔機能発達不全症の疑い(噛んでない、食事中に水が必要、クチャクチャ音をしながら食べる等)
3:歯並びやかみ合わせに影響が出る子供もいます。
4:顔面の骨の発達も弱い傾向
他にも全身症状としては
4:睡眠の問題(いびきをかく、寝起きが悪い、夜尿など)
5:風邪などを引きやすい
6:扁桃腺が腫れやすい
7:アレルギーになりやすい
8:姿勢が猫背になり頭が前方に出る
といったことがあるといわれています。
③コロナ禍のマスクで口呼吸が増えたという話が最近あります。
そんな中コロナ禍でマスクをする中で口呼吸が増えてきたという話がテレビや新聞などのメディアでたびたび取り上げられるようになります。
例えば
TBSの2023年5月のニュース
マスク生活で増加!「口呼吸」に注意 感染症・虫歯のリスクが高まる その対策は?
2022年6月の中国新聞
口呼吸ほっとかないで 長引くマスク生活で増加 風邪や歯周病にリスク
一般社団 日本口腔保険協会でも2021年早い段階で
それぞれの内容は割愛しますが外にも検索すると様々なところでこういった話が出てきます。
先ほどの話で行くと
マスクをしていると鼻呼吸がしにくいので口呼吸になる。その結果習慣的口呼吸になったということになります。
④では口呼吸の子供はコロナ禍で増えたのか?
では口呼吸の子供はどのくらいいのでしょうか?
様々な調査があるのですが3割~5割くらいいるというのがコロナ前から言われている数字です。
教育新聞に2021年の3月の記事ですが新潟大学の大規模調査では3割といわれています。
2003年に小児の口呼吸の実態調査として東北大学の小久江らが
保育園の年長児の親にアンケートを取ったものだと
27.1%がよく口を開けている
51.4%口を開けて寝ていることがある
またどちらにも20%の子供にはアレルギー性鼻炎などの既往があったということです。
そもそもコロナ前から口呼吸の症状がある子供や、そうなりやすい子供(アレルギー性鼻炎などの鼻疾患から口呼吸に移行した人、寝ている時にいびきをかいている子供など)は多いということになります。
そうすると鼻呼吸だった子供がいきなりマスクのせいで口呼吸になった
というより元々3割くらいはマスクに関係なく口呼吸で
鼻疾患や寝ている時に口をかくなどの口呼吸になりやすい子が習慣的な口呼吸に移行してしまったと考えるのが自然な気がします。
元々0%や10%の口呼吸がコロナ禍で30%になったとか
30%の口呼吸が70%い増えたなら大問題ですが
30%コロナに関係なくいて、なりそうな人や怪しい子供もプラス20%ぐらいいた中で
そういった子供も口呼吸になったという方が自然な感じがします。
また絶対鼻呼吸のみがいいのではなく口呼吸は補助的には行う呼吸です。
例えば長距離走るとほとんどの人は疲れたら口で呼吸します。
それを口呼吸はいけません閉じて走ってください!
という人はいないですし
マラソンやっている人や毎日ランニングしている人に口呼吸が多いという話もありません。(そもそも調査されてない可能性もありますが…)
⑤口を閉じれば口呼吸が治る…のではない。
よく子供の口呼吸を指摘すると
「口を閉じるように注意します」
というお母さんがいますが、それをしてもよくはなりません。
口が開いている子供の舌は必ず下がっています。
本来口を閉じている時は舌は上の顎についていないといけません。
鼻をつまんで
①口を開けて息を3回吸って吐くのと
②口を開けて舌を上にあげて上の顎につくようにして3回息を吸って吐くのでは
②がやりづらくなります。
なにかというと、舌が上に上がれば鼻の気道が開いて口の気道が閉じます。
逆に舌が下に下がれば鼻の気道は閉じるので
お母さんが「口を閉じなさい!」って言っても
子供は苦しく呼吸するだけで気を抜いたらまた口が開きます。
そしてまた「閉じなさい!」とお母さんが注意するだけで治りません。
正しくは「ベロを上げて!」です。
こんな風に舌の裏側を見せながら口をあいている子供はいないと思います。
でも問題はなぜ舌が上がらないか?
舌を上げるための口周りの筋肉の発達が弱い・遅れていることが原因です。
口の機能の発達の問題ということです。
2018年から保険診療でも口呼吸だからではなく口の機能の発達の遅れがあると「口腔機能発達不全症」という病名で管理することが可能となりました。
またただ歯科クリニックでは口呼吸と一緒に歯並びやかみ合わせの問題がある場合、乳歯からでも矯正治療の中に筋機能に対するアプローチも入れて同時に改善を行っていきます。
⑥簡単にわかる口呼吸かどうかのチェック
口呼吸、もしくは口呼吸になりやすい口周りの筋肉かどうかを調べる方法があります。
口を閉じて下唇の下にシワができる子供は
口呼吸、もしくは口呼吸になりやすい口周りの筋肉
ということになります。
⑦マスクを外したから口呼吸が鼻呼吸になることはない!
コロナ禍でマスクをすることが増えたせいで口呼吸が増えた
だから
マスクを外したら口呼吸が治る
という人もネットで見かけたりしました。
残念ながらそれはないです。
そもそもの原因が鼻疾患や歯並びかみ合わせにあればそれを改善しなければいけませんし、その場合もそれによって習慣的な口呼吸をする癖がついているのならばそれを改善しなければいけません。
またそういった習慣的な口呼吸は口の機能の発達の遅れや弱いのが問題なのでそれに対してのアプローチをしなければいけません。
例えば「口の機能が弱い」ということは「食べる」のも噛みけれなかったり、硬いものを苦手としたり、丸呑みをしたり、水で流し込まないと食べれなかったり、時間がかかったりといろいろ問題があるはずです。小学生で言えば給食が時間内に食べ終わらない(量は減らさないで)とか。
むしろ食べる機能を上げていくような食事の改善をしていくのも一つのアプローチになります。
また口の機能改善であれば
口を使った遊びをする、大声を出すそういったことも口の機能の発達には必要です。
まずはこういった報道や記事で子供の口呼吸が気になる方はご相談ください。
注意事項
*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。
*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。
*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。
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