【歯科的哺乳・離乳の話11】手づかみ食べの大事さ


【2023年8月24日 12:30 PM更新】

こんにちは

仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。

初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。

 

今日は離乳食を始めた時期の手づかみ食べの大切さについてのお話です。

 

もくじ
①手づかみ食べさせてますか?
②食べることは認知から始まります。
③「猫舌」という病気はありません。
④手からの情報がない食事は怖い。つまり・・・
⑤食べ物を触ろうとするのは食べる意欲
⑥こういったことの詳しい話は母親教室で話しています。

 

①手づかみ食べさせてますか?

離乳食を始めたころ、よく赤ちゃんは手を伸ばして食材を触ろうとします。

手が汚れるし、落としたりすると床も汚れるし

手でつかんでも遊んで食べないだけで

早い段階から手づかみは行儀が悪いからと

あまり手づかみ食べをさせない

お母さんもいると聞きます。

 

 

答えから行くと

手づかみは食べはどんどんさせてください。させないことで食べる機能の発達が遅れます。

 

②食べることは認知から始まります。

「食べる」という行為はどこから始まるでしょう?無意識に行っていますが、最初に目で見たものを認知することから「食べる」作業が始まります。

固いもの柔らかいもの、熱いもの冷たいもの、味といったものを僕らは今まで食べた経験から瞬時に判断して食べ方を変えます。実際にやってみるとわかりますが、目隠ししただけで、食べるのがすごい難しくなると思いますが、それはどんな食材か、どのくらいの量か?熱い冷たいといった情報がわからなくなるからです。

 

 

離乳食を食べている赤ちゃんはこの状態です。お母さんが丁寧にいくら処置をしようが、その子にとってはわからない未知なるものです。さらに言えばこの頃は目の焦点を合わせる筋肉も弱いので視力もそこまでないです。そう言った状態でいきなり口の中にものが入るのは恐怖でもあります。

 

だから手で触るんですね。

 

手で触ることで、固い柔らかい、熱い冷たいがわかります。

それによって食べ方も変わります。

実際は、間違った食べ方をしても手の情報から学習をするといった方が正確かもしれません。

硬いものを口入れて強く噛んで、びっくりして吐き出す。これを何回かするうちに「固い」という手の感覚がわかる、そうなると同じような食材は同じように食べるんだと学習する。

といった感じです。

 

厚生労働省も手づかみ食べについてこういったことを話しています。

手づかみ食べについて

「手づかみ食べ」は、食べ物を目で確かめて、手指でつかんで、口まで運び口に入れると いう目と手と口の協調運動であり、摂食機能の発達の上で重要な役割を担う。 摂食機能の発達過程では、手づかみ食べが上達し、目と手と口の協働ができていることに よって、食器・食具が上手に使えるようになっていく。

 

③「猫舌」という病気はありません。

猫舌の人をよく見かけますが、「猫舌」という医学的な病気はありません。

熱いものを飲むとき舌の熱さを感じやすいところと、感じにくいところがあります。

僕らはそれを先ほど話したように、見たりすればわかるので熱くないように飲む飲み方に変えます。

猫舌の人はその切り替えがうまくいかないので「あつ!」となります。

 

暮らしの雑学「人が猫舌になる理由」

「 熱いものを上手に食べるには「舌の 真ん中や奥に食べ物を入れる」、「食べ 物と一緒に空気を吸い込む」、「舌先を 舌の裏に隠す」とよいそうです。」

とあります。

 

これも手づかみ食べをしていると熱いかどうかはわかります。触れないくらい熱いのは食べちゃいけないし、触って熱いのは口入れるときも熱い食べ物の食べ方にしていきます。これもさっきと一緒で最初からうまくいくのではなく、口に入れてみて失敗したりしながら学びます。

 

手づかみ食べをしない、危ないからお母さんがいつまでもさましてから出すといったことをすると「猫舌」になるというよりは熱いものを食べるときの食べ方ができないようになります。

やけどするような熱さはダメですが、温かいといった感覚はないといけません。

 

手づかみすると手が汚れるからと早いうちからフォークやスプーンを使っちゃうのも、こういった食材の情報が伝わらないのでよくないです。

 

④手からの情報がない食事は怖い。つまり・・・

こういった手から分かる情報がなく食事をすると、目隠しして食事するような感覚なので、口の中に入って初めてわかるので「怖い」です。つまりちょっと違った感触や冷温にびっくりするので、初めて食べるものに警戒しやすく、好き嫌いが多い傾向があります。

 

年齢が上がったらそういったこともなくなるわけではなく、小さいころからそういった食べ方をしていると、同じものを食べていた方が安心ですし新しい食べ物にはなかなかトライしないようになります。

 

あと実際手にもって、どのくらいの量を入れるか?も勉強します。

これも入れすぎて詰まって吐き出したり、最初はトライ&エラーですが、そうやって学ぶと、食器を使っても口の中に詰め込みすぎて、苦しくなったりいつまでももぐもぐ噛んだりしてしまいます。一口量も手で学んでいくことが必要です。手は汚れるからとスプーンやフォークを早い時期から使うと、一口量がスプーンやフォークの大きさで決まるので本人の食べれる量とマッチしないとうまく食べれません。

 

 

6歳くらいで「食べる」問題を抱える子のなかにこういった手づかみ食べをしないことでそうなってしまった子供は一定います。またこの時期から手づかみで食べると治せるかというと、本人が手で食べるのはおかしいとわかってくるのであまりやってくれません。もちろん苦手なもの、初めてのものを触らせてから食べさせるのはいいかもしれませんが、そもそもやってない行動なので本人が嫌がるでしょうね。

 

⑤食べ物を触ろうとするのは食べる意欲

そういったことを考えると、手で食べ物をつかもうとする行為は

「その食べ物のことを知りたい」

食べる意欲でもあります。

 

離乳食を早く終わらせよう

汚れると大変と

 

その手を払いのける行為は

食べようとする意欲を否定する行為でもあります。

そういったことをしていくと、「自ら食べる」のではなく「食べさせられる」といった感覚になってしまいます。

遊び食べをする・しない、怒ってもやめない、やめさせる方法・・といったこともよく聞きますが

小さい時から「食べたい」という子供の気持ちを大事にすることも必要です。

 

手づかみ食べは

子供の食べる機能の発達に必ず必要なことです。

 

もちろん手が汚れたり、床を汚したり

色々大変だとは思いますし

火傷するほど熱いのは触らせちゃいけませんし

口に入れて詰まったりしないようにとか

注意は必要ですけど。

 

 

⑥こういったことの詳しい話は母親教室で話しています。

ただ歯科クリニックでは口元からの正しい機能の発達と発育、虫歯予防等を中心とした0~3歳までの母親教室をしています。受け付けはメール相談のところからのみで、電話等での質問や予約などは受け付けておりません。

詳しい内容・問い合わせ・予約は:母親教室のお知らせ

 

注意事項

*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。

*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。

*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。




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