【歯科的哺乳・離乳の話15】乳幼児が手で触ることの大切さ


【2023年12月20日 10:29 AM更新】

こんにちは

仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。

初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。

 

今日はちょっと難しい言葉が出てくる子供の発達の話をします。

 

もくじ
感覚統合という言葉を知っていますか?
②大事なのは触覚
③歯ブラシを嫌がる子供も感覚の問題が多い
④口の中の過敏をとるのは全身を触ることも大事
⑤皮膚からの刺激が少ない、触れ合いが少なくなると・・?
⑥スキンシップというと簡単だけれど

 

①感覚統合という言葉を知っていますか?

感覚統合という言葉があります。

感覚統合というのは、日常で感じる様々な刺激や情報を頭でうまく処理していく能力のことを言います。感覚統合には意識して使う識別感覚と無意識で使う原始感覚というものがあります。

 

意識して使う識別感覚には

視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚よくいう5感というものがそれに当てはまります。

この言葉はよく聞いたことがある人も多いと思います。

5感は感覚統合のひとつで識別感覚ともいわれるものです。

 

一方意識せず行う原始感覚というのは

固有覚前庭覚という言葉に分かれます。この言葉になると聞いたことがない人の方が多いかもしれません。

固有覚とは何かというと、子供で言うと、ベッドやソファの上で飛び跳ねたり、部屋中をドタドタ走り回ったり、抱っこしている時にものすごい体をのけぞらせたり、そういった動きになります。筋肉や関節の使い方の調整がうまくできずに行う過剰な行動、こういったのが「年齢が上がったから」と思うお母さんは多いですが、実際は発達の中で体の使い方を覚えることでやめていくことになります。

 

前庭覚とは、わかりやすいのが乳幼児をグルングルン回すと大喜びします。こういったのはある年齢になるとしなくなるので、これも「年齢で」と勘違いされますが、前庭覚の発達の問題になります。

 

 

つまり原始感覚というのは、子供のうちにみられるちょっとおかしな行動の一部のことで、それらが発達をしていくとなくなるものになります。

 

 

②大事なのは触覚

この識別感覚と原始感覚の両方を持ち合わせているものそれが

「触覚」

になります。

 

つまり触ったり触られたりということを意識的にすることが子供の感覚の統合には大事なことになります。

 

例えば乳幼児がお母さんに抱っこされたり、あやされたりするのも触覚を通して情緒の安定を図っていることになります。感情の発達の形成にも大事になるのでうまく使っていきたいところです。悪いことをしたとき、喧嘩したとき仲直りをする時に、ハグしたり手を握ったりそういったことが大事だったりします。

 

小銭入れに入った者の中から中を見ないで5円玉を出す。こういったのも触覚の働きです。5円玉の大きさや、穴の開いている開いてないそういったのを頭で考えながら見なくても取れるようになります。こういった遊びも子供にとっては感覚の発達には大事なことです。こうすることでより手の感覚が鋭くなり、手で触った者の情報を脳に正しく伝えれるようになります。

小さい子はおもちゃやブロッグとか箱にしまってあるのを一回全部出したりします。あれも汚そうとか、片付けができないのではなく手で中にあるほしいものが取れないので全部出すわけです。注意をする前に触った欲しい人形や電車がわかるようにしないといけません。

 

こういった感覚を上げることがあまりできないと、静かにしなければいけないところでドタドタしたり、ベッドやソファーの上で飛び跳ねたり、水たまりでジャンプしてしまいます。全身の皮膚を通して様々な情報を取り入れうまく処理ができないと空間と自分の体のイメージがつきません。もちろん注意してやてくれないです。

 

 

またこういった触覚、皮膚感覚の発達が遅れてくると、ヒトから触れるのが嫌、服も同じような質感のものしか切れない、水泳でも水に入るのを怖がる、といったことになり、お母さんが怖がりやワガママといったその子のパーソナリティの問題と勝手に思ったりしてしまいます。

 

 

③歯ブラシを嫌がる子供も感覚の問題が多い

歯科で言うと感覚統合ができていない子供が歯ブラシを嫌がることはたくさんあります。

単純にお母さんの磨き方が下手で子供の痛いところを触っている

といったことや

飲み込む能力、嚥下の能力が低いのに歯磨き粉を多めにつけて泡だらけの口の中で子供が苦しくなったりすることもありますが、

 

感覚統合が遅れている子供の場合

例えば識別感覚を刺激しながら歯ブラシを行うとうのは

「時間」でいくと、いつも同じ歌を歌いながらやるとか、ストップウォッチや砂時計を持たせて時間がわかると安心してできるということになります。

 

一方で原始感覚を刺激しながら行うと

「触覚」触ることが大事になります。

原始感覚の発達が弱い子供は、過敏傾向が強いです。つまり口で言うと異物が入るのを嫌がります。食べ物なら、味ではなく食感が同じようなもの、柔らかい、固いもですが、例えばハンバーグの玉ねぎがちょっと大きかったりして食感が気になると食べなかったり、複数の噛み応えの違う食材があると別にして食べたりします。

 

そういった子供は歯ブラシも異物ですので嫌がります。

まずは自分で持って歯ブラシの毛を口に入れる前に触るところから始めないといけません。口の中に入れる時も、転倒とかの事故には注意しながら、自分で口の中を歯ブラシで入れないといけません。次にいきなりお母さんがその歯ブラシを取り上げてはだめで、本人持っている歯ブラシではなく、腕をもって口の中で一緒に動かさなければいけません。

 

 

自分で脇をコチョコチョするとくすぐったくないけど、人にコチョコチョされるとくすぐったいあの感覚です。

 

④口の中の過敏をとるのは全身を触ることも大事

口の過敏をとっていくのは「触る」ことが大事になります。

過敏が取れない多くの子供は小さい頃から必要なことを「してない」ことが多いです。多くはマイナスの情報、お母さんの思い込みによることが多いです。

 

ヒトとヒトの接触だけではなく、よくあるのは離乳食の時期に口の中に子供が色々入れようとするのですがそれを

「汚いから」(思い込み)「飲み込んでつまる事故が多いから」(マイナスの情報)

であまりさせなかった子供。

 

この時期は様々なものを触って口の中に入れることで、口の過敏を取り、手の感覚を上げていきます。あまりしていないと、口の中に入った初めての食べ物にもびっくりするので、離乳食も遅れたりします。

 

 

同様に離乳食もつかみ食べやそもそも、触って感触を覚えるので、下にこぼす、投げる、といったことをするとさせないようにしたりしますが、そういったことも大事なわけです。汁物手でぴちゃぴちゃしたりするのも、雨の日に水たまりでピチャピチャするのも同じですね。固有覚、筋肉の調整ができていないだけなんですね。行儀が悪いとかふざけているとかではなく。つまり注意なんかするより、固有覚をどんどん刺激するようなことを普段からすればいいだけなんですね。

 

 

⑤皮膚からの刺激が少ない、触れ合いが少なくなると・・?

触る感覚、口の中の過敏な子供は手や肌感覚も過敏です。砂遊び土いじりができない、虫や動物を触れない、服は同じような質感のものだけ着る、布団や毛布でくるまるのが苦手といったことがあります。

積極的な砂遊びまでいかなくても、公園いって地面にいじりだしたり、石や枝見つけたら触らせたり、花とかも触ったりするだけでもだいぶ違います。そういった子供は目を閉じると情報源がなくなるので暗いところなど極度に怖がりな傾向になります。

 

また皮膚感覚も弱いので、本人の抱っこしてほしい時じゃない、お母さんから突然にぎゅっと抱き着くの嫌がります。こういったこともお母さんからどんどんしないと、抱っこの決定権は自分にあると思うので、お母さんからするといわれたことを中々しません。決定権が自分にあると思ってしまうんですね。出かける時間でも、遊びたければ遊んでしまうし、外食でレストランに入っても自分が食べたくなければ嫌がります。歯医者も怖いから嫌ではなく、自分が行きたくないのにつれていけれるのが嫌ということです。

 

 

3歳まではいいのですが、3歳過ぎてトレーニングしても全然歯医者になれない子供の中には、お母さんからどんどん抱っこして子供の抱っこ断るようにすると突然普通にできたり、幼稚園や保育園に行くのにごねたりしなくなります。

 

⑥スキンシップというと簡単だけれど

スキンシップという言葉を聞いたことあると思いますが、スキンシップだとヒトとヒトふれあいみたいな感じです。子供の場合はもっと広い意味で触る、舐める、といったことが大事になります。お風呂や水が苦手というのも、そこだけでというより海のような波はまた感触が変わりますし、素足で波と遊ぶだけでも体に入る情報はたくさん増えます。お風呂でも入浴剤の臭いといった刺激を加えるとかが大事になります。もちろんお風呂以外でも飲むときコップの中に指を入れるのも注意してはいけません。本人は口に入れるのが怖いので触っているだけかもしれないので。

 

そういった感じで広く考えて様々な刺激を与えるのが6歳くらいまでの子供には大事になります。

 

注意事項

*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。

*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。

*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。




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