【歯科的哺乳・離乳の話14】乳幼児の食べれない、偏食を考える。


【2023年12月13日 11:15 AM更新】

こんにちは

仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。

初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。

 

もくじ
①「子供が食べてくれない!」と悩むお母さんは多いです。
②まずは好き嫌いを分けてみましょう
③いい好き嫌いと悪い好き嫌いを見分けよう
④味の好き嫌いの対応
⑤食感の好き嫌いの対応
⑥口の中が過敏が取れない場合
⑦ゴールは給食!

 

①「子供が食べてくれない!」と悩むお母さんは多いです。

離乳食を初めて3歳、4歳と進んでくると子供の食べ物の好き嫌いで悩むお母さんは多いようです。最近では医科でも子供の偏食外来といったものもあるようです。

よく母親教室で食べ物の好き嫌いがない子に育ってほしいというお母さんは多いのですが

「具体的にどのくらいの好き嫌いならいいですか?」というと

答えられないお母さんがほとんどです。

 

全くない方がいいのか

5個ぐらいならいいのか

10個ならいいのか

 

具体的な目標がなければ、子供に食べれるように何かした方がいいのか?放置していいのかもわかりません。

 

 

②まずは好き嫌いを分けてみましょう

食べ物の好き嫌いを分けると

(1)味の好き嫌い

(2)食感の好き嫌い

(3)口の中が過敏で食べれない好き嫌い

(4)歯並びやかみ合わせで食べれない好き嫌い

に分かれると思います。

 

もちろんアレルギー等の疾患による好き嫌いとは別です。また医科での治療が必要な全身疾患等がある場合ものぞきます。それはかなり個別なケースになりますので今回はあくまでも定型発達の中でという話です。

 

③いい好き嫌いと悪い好き嫌いを見分けよう

先ほどあった4つの好き嫌いのうち、(1)味の好き嫌いは放置でいいと思います。放置でいいというのはそのうちよくなるかもしれないし、よくならないかもしれないけども、無理に嫌がるものを子供のうちから食べさせる必要ないというニュアンスです。

 

一方で(2)食感の好き嫌い(3)口の中の過敏が取れないことによる好き嫌いは口の発達がうまくいっていないために起こった好き嫌いです。発達は訓練や練習をしてできるようになるものです。つまりこの二つに関しては、よくなるかもしれないと放置してもよくならなりません。あとあと残ってしまうとより改善が難しくなる可能性があるので早くからのアプローチが必要になります。

 

(4)については、今の歯並び、かみ合わせでは噛めないといった状態です。そういった場合は、見た目のその子の歯並びが気になるかどうかではなく、機能的な問題でかみ合わせにアプローチするための矯正が必要になってきます。

 

このように食べてくれないとなったときに、「なぜ?」がわからないと、無理矢理食べるように怒ったり、それもいけないけないからとそのまま放置したりする、食べてくれるものだけを出すと極端な対応を取ってしまったりします。

どちらがいい悪いではなく、何で食べてくれないかを考える必要があります。

 

④味の好き嫌いの対応

先ほど味の好き嫌いはそのままでいいといいました。ただ全部そのままで「好きなもの」を上げるのも違います。嫌いなものに手が伸びるような環境づくりというのは必要です。あくまでこれで食べてくれるといいうより、手を伸ばせばいいなという感じです。

 

それはとにかく食べる前に遊ぶ。体を使う。

そうすることでお腹が減るのでいつもは手が伸びないものに手を伸ばしてくれます。

基準としては年齢+1キロがその子の一日の運動量といわれています。毎日できなかったり、雨の日は難しいとかあるので、動く日を作ってみるのもいいでしょう。またそんなに一緒に動いたら疲れてダメというお母さんは習い事で運動量が多いものを選択するのも一つです。走り回ったり動くものはもちろん、ピアノも個人でピアノでレッスンてきなものより音楽教室みたいな体を動かすものがいいでしょう。

それで「体を動かす日」を作ってそういった日は、おなかが減るのでいつもは手が伸びない食べ物に手が伸びる可能性があります。それで食べて、好きになるかもしれないし、だめかもしれない。そういったことを繰り返いしていく感じですね。

山の上で食べたらおいしく感じるとか、キャンプでテント立てたり、火をおこしたりするのに体を使ったら食べるとおいしいみたいな経験を毎週作るみたいな感じです。

 

 

逆に考えると、あまり運動していないのに食べない、好き嫌いが多いといった子供はそういった食べれるチャンスを逃しているのかもしれません。そういった子供であれば味でも好き嫌いが少し改善するかもしれません。ただ手を伸ばしてみても、味がだめならダメな場合もあるので、あくまで嫌いなものをゼロにするというよりも、食べてくれないもののを一つでもへらせたらいいなーという話です。

 

⑤食感の好き嫌いの対応

見逃されがちなのが食感の好き嫌いです。

これは味と違って食べにくいから食べないという感覚のものです。これは口の機能の発達大きく関連しているものなので、練習して食べれるようにしていくものになります。

 

わかりやすいのが複数の食材を一口で食べれない。完食はするけども食べ方がおかしいような場合です。例えばナポリタンを食べる時に、ピーマンはピーマン、玉ねぎは玉ねぎ、ソーセージはソーセージ、パスタはパスタとか、焼きそばでもキャベツや肉を抜いて別に食べる。そういったのがわかりやすいと思います。こういった子供は遊んだりしているわけではなく、口の機能の発達が弱いので一緒に食べれないんですね。それぞれの食材の味は大丈夫なので間食はします。食べた・食べないだけをチェックしているお母さんには見つけにくかったり、逆に遊んで食べていると思って注意するお母さんを子供が気にすると残したり食べなくなったりします。結果お母さんが「嫌い」と認識して出さなくなったりもします。

 

 

こういったのは常に意識しながら種類を増やす、難易度を上げるというのが必要です。

例えばポテトサラダなら、作らない総菜で買ってくるでいいのですが、家できゅうりを混ぜるとかハムを混ぜるとか、パンにはさむとかちょっと一工夫加えてみるのが大事になります。

 

ご飯もふりかけや、豆ごはんやわかめご飯の様な初めから白米に一品入れて炊いてみるとか。

 

 

こうやって食べる機能を上げないと、噛む能力も上がってこないので、そもそも大きなものも食べにくくなります。硬さで食べ方は変わるのですが、複数の食べ物が入ると瞬時に噛み方を分ける能力が必要です。つまり顎がそういった動きを覚えていくのですが、より噛むのが難しい食べ物が口の中に入ったときにもそういった対応力がついてくると食べれるようになってきます。

 

焼肉で薄いカルビしか食べれない、ちょっと肉が厚くなると噛めないという子供とかも、薄いお肉と野菜炒め(食べる時は野菜と肉を一緒に)、薄い肉をアスパラに巻くとか難易度を上げていくと、固いお肉にもたどり着けるようになります。

 

こうやって組み合わせや難度を変えていくと食べれるものが増えてくるようになります。こういった好き嫌いはなくせるものになりますし、逆にアプローチをしないと食べれるものが増えなかったり、給食で苦戦するようになります。

 

 

⑥口の中が過敏が取れない場合

口の中が過敏な子供というのは、わかりやすいのは歯ブラシを嫌がる子供です。お母さんが歯ブラシ入れるとかなりオーバーに嫌がり、自分で入れた歯ブラシだと磨ける子供です。どこか痛いところがあったり、おぇっとなる子供はそこだけ歯ブラシが入るといやな反応をしますが、どこ入れても嫌がる子供はその傾向があります。

そういった子供の場合、食べ物も口の許容範囲が狭いわけです。

 

ただしこの口が過敏なのは先天的なものではありません。全員赤ちゃんの時は口の中が過敏で、離乳食を初めて、食べていく過程でなくなるものです。特にある時期までは目や手が発達していないので、何でも口の中に入れることで物を認識しています。過敏で正解です。でもそれが徐々に取れることでいろいろなものを口の中に入れて食べれるようになっていきます。ここで躓いているわけです。

 

つまり発達の問題なので、年齢が上がったらこういった症状が和らぐということはないです。成人になってそのままなら歯科医院でのクリーニングも不快ですし、そもそもそういった傾向の人は「何かあったら」でしか歯科医院に行かなくなります。食べ物も初めて食べるものは嫌ですし、好き嫌いも多いままです。

 

過敏のこの場合は食べ物で過敏をとるのは難しいです。口の中に刺激をあたえて正しい発達を即すのが基本になります。

 

熱いものは火傷するので冷ましたりしますが、できるだけ手で食べ物を触らせましょう。手から分かる情報で固い柔らかい、冷たい温かいがわかって口の中に入れるだけでだいぶ違うはずです。もし、そういったことを本人がしようとしていたら、外食先ではちょっと恥ずかしいですが、「行儀が悪い!」と注意してはいけません。遊んでる、ふざけているのではなく、わからない怖いから触っているんですね。

 

口の中も刺激が必要になります。口周りを使った遊び、変顔ではなくにらめっこ、口笛、フーセンガム、シャボン玉を吹く、大声を出す…

こういった日常の中の遊びも口の機能の発達に大きく影響をします。

食べ物を食べさせながら好き嫌いを治すというよりは、こういった全身の正しい発達を側すような遊びや接触で食べれるようになります。

 

⑦ゴールは給食!

子供が出されたものを食べなかったり、遊んで食べているとつい注意をしたりします。またそういった注意も強すぎるのはいけない!みたいな話を聞くと、放置して「そのうち食べてくれる」となってしまうお母さんも多いと聞きます。優しいのは大事ですが、何もさせないのはまた違います。

 

また家では嫌いなものを食べさせなければやり過ごせますが、小学校に入ったら給食という場面で子供は一人で対応していかなければいけません。

治せるものは治して、様子を見たほうがいいものは様子を見てできることはできるようにしないと、給食で子供が一人困るだけです。

 

そういった意味にでゴールラインは給食で困らない程度の好き嫌い。最低週に1回嫌いなものが出る程度に。できたら2~3週間に1回ぐらい嫌いなものがあったというところに落ち着くのがいいと思います。

 

みんなと同じものを同じ時間内に、食べ終わる。好き嫌いも給食で困らない程度に収めることで残すこともあまりない。(たまに嫌いなものが出るくらいはいいと思います)このあたりをゴールに乳幼児の頃から食べ物の好き嫌いを考えるのがいいのかなと思います。

 

食べる機能の発達の問題の一部は2018年から「口腔機能発達不全症」という病名で保険診療での管理指導ができるようになりました。条件等がありますのでお子さんの食べることでお困りのある方は一度ご検討ください。

 

2022/5/17のブログ 【口腔機能発達不全症2】「食べること」の困りごと

 

注意事項

*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。

*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。

*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。




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