【子供の矯正46】乳歯の過蓋咬合にご注意ください。


【2019年7月9日 6:00 PM更新】

こんにちは

仙台市泉区・富谷市からも近い ただ歯科クリニックです。

初めての方はブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。

 

今日は乳歯の過蓋咬合についてのお話です。

 

もくじ
①過蓋咬合(深いかみ合わせ)は問題なのでしょうか?
②将来大人の歯が生えてきたときのリスク
③子供の口の機能の発達と過蓋咬合
④過蓋咬合による子供のいびき
⑤乳歯の過蓋咬合の治療は?
⑥「口腔機能発達不全症」という病気があります。
⑦まとめ

 

①過蓋咬合(深いかみ合わせ)は問題なのでしょうか?

過蓋咬合というのはかみ合わせが深い状態を言います。

3歳児検診とかで指摘されるものですとガチっと噛んだ時に下の前歯が上の前歯に隠れて見えないようなものをいいますが、実際は下の歯が半分くらい隠れていても過蓋咬合といっていいと思います。

 

 

過蓋咬合は例えば出っ歯や受け口のような水平のかみ合わせと違って、噛んでいるように見えます。また深く噛んでいた方がよく噛んでいると思ってしまい、気にしないお母さんも多いように思います。

 

②将来大人の歯が生えてきたときのリスク

乳歯の過蓋咬合のほとんどの子供が隙間なくびっしり歯が並んでいます。3歳ぐらいではまだいいのですが、永久歯の生え変わりが始まる6歳前後までには乳歯と乳歯の間に隙間が必要になります。過蓋咬合は隙間がない、つまり顎の成長が足りない子供が多いです。多くは上の顎が劣成長を起こしており、それに合わせて下の顎も小さくなり、さらに後ろに押し込まれているような状態になります。

 

1993年の日本小児歯科学会での難波らの報告では

上の顎で3ミリ、下の顎で2.5ミリの隙間しかない乳歯の子供の場合2/3で永久歯のスペースが足りなくなるといった報告があります。

永久歯の歯並びに問題がないためには上の顎で最低6ミリ、下の顎で4.5ミリの隙間が必要とも言っています。

 

つまり乳歯のきれいな歯並びは隙間がある程度ないといけません。しかし実際はびっしりきれいに並んでいる乳歯をきれいに並んでいると思ってしまうお母さんが多いです。

 

そういった意味で過蓋咬合はそもそも上下特に上の顎の劣成長があるので、永久歯になってからスペースの問題で苦戦をしてしまいます。

 

③子供の口の機能の発達と過蓋咬合

また乳歯の過蓋咬合の子供は「本来噛みたい位置」ではなく「劣成長の上に合わせるために下の顎が奥に押し込まれるかみ合わせ」になるので様々な問題が出てきます。

元開らの報告では

乳歯だけではないですが、過蓋咬合の子供達に

・好き嫌いが多い

・水分摂取が多い

・噛み切れない

・食べこぼしが多い

といった食行動の問題が他のかみ合わせの子供よりも多いことが指摘されています。

 

好き嫌いの場合も味の好き嫌いではなく、食感で苦手なものが出てくる傾向があります。逆に氷や飴玉のようなものはボリボリ食べたりします。

かみ合わせが悪いのでうまく噛めないために、噛み切れなかったりそうなるといつまでももぐもぐしているので流し込んでしまったりするようになります。

 

これ以外にも様々な「食べる」ことの問題があるのが過蓋咬合の特徴です。

 

④過蓋咬合による子供のいびき

また後方に押し込まれた下の顎は気道を圧迫しますので、いびきなど睡眠の問題にもつながります。寝ているときに苦しいので眠りが浅かったりすると朝もなかなか起きなかったりしてしまいます。

 

この後方に仕込まれた下の顎は生え変わりがある小学生くらいまでは顎の関節の位置が決まっていないのでいいのですが、中学生くらい過ぎて関節の位置がだいたい決まってくると顎関節症になったりもします。

 

成人のSH療法でも睡眠時無呼吸や顎関節症のケースで効果が報告されているのは、上下の顎の列成長で下顎がロックされているケースが多いのもこのためです。

 

⑤乳歯の過蓋咬合の治療は?

乳歯の時期の子供にわざわざブラケットなどの固定装置をつけて過蓋咬合を改善することはありません。当院では「プレオルソ」「T4K」「Ef-line」などの既製品のマウスピースを使って改善します。

夜寝ているときに入れてもらって、ロックされている下の顎を正し位置に誘導し、上下の正常な成長へとのせていくようにします。

 

 

あくまでも乳歯がきれいに並ぶわけではなく、永久歯が並ぶ準備と、今あるズレの是正が目標になる治療法ですので、永久歯が生えてきたらまたそれに合わせて次の治療に移行していきます。

しかしそのまま治療をしないで、噛み合わせのズレや成長の不足を抱えたまま新しく生えてきた永久歯の問題も解決していくよりも、その時期までに少しでも問題を改善することで次の治療の難易度を大きく下げていくことになります。

 

⑥「口腔機能発達不全症」という病気があります。

また2018年から保険診療で「口腔機能発達不全症」という病気が付くようになりました。

食べる・飲み込む・呼吸や発音などの様々な機能の発達に問題がある子供を指導していくのですが、過蓋咬合の歯並びも、またそれによっておこるいびきなどの睡眠や様々な「食べる問題」もこれにチェックされるものになります。

 

過蓋咬合の治療自体は矯正治療なので自由診療になりますが、矯正治療を行わなくても「食べる」問題があってそこを改善したい場合は治療の適用になる場合があります。特に過蓋咬合の子供は口腔機能発達不全症に該当する子供は多いと思われます。

 

⑦まとめ

乳歯の過蓋咬合は歯並びが気になるかどうかではなく、子供の機能の発達という点で治療が必要になります。特に食べることの問題は、歯並びが気にならなくても改善したほうがいいと思います。

 


ただ歯科クリニックでは矯正治療の無料相談をしています。

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