【2023年9月28日 11:00 AM更新】
こんにちは
仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。
初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。
もくじ
①虫歯にならにならないように子供との食器共有を避けるべき?
②虫歯は何でできるでしょうか?
③砂糖の管理がまずは一番大事!
④歯ブラシを子供に完璧にしようとしても・・・
⑤虫歯予防で狙いに行くのは合わせ技で1本
⑥フッ素も過信しない
⑦じゃあ食器共有はしなくていいの?
⑧虫歯予防もこのように話が変わることもあります。
①虫歯にならにならないように子供との食器共有を避けるべき?
2023年の8/31日本口腔衛生学会よりこういった発表がありました。
親から子供のう蝕原因菌からの感染を予防するために、親とスプーンやコップなどの食器の共有を避けるようにとの情報が広がっています。しかし、食器の共有をしないことでう蝕予防できるということの科学的根拠は必ずしも強いものではありません。
という発表がありました。
根拠としては
(1)親からの口腔最近の感染は食器の共有の前から起こっている
(2)う蝕の原因菌はミュータンス連鎖球菌だけではない。
(3)食器の共有に気を付けていても、子供のう蝕に差はなかった
(4)う蝕予防のためには砂糖の摂取を控え、毎日仕上げ磨きを行い歯垢を除去し、フッ化物を利用することでう蝕は予防できる
と話しています。
②虫歯は何でできるでしょうか?
小児歯科をやっていく中で
虫歯は何でできるのでしょうか?とお母さんに聞くと
答えられないお母さんが結構います。
「歯ブラシしないから・・・」
「お菓子を食べるから・・・」
みんな曖昧な答えをされます。
虫歯は砂糖を食べた虫歯菌が出す酸で歯が溶けます。
食器の共有、虫歯菌の感染の話というのは、この虫歯菌がいなければ虫歯にはならないのではないか?ということから始まった話だと思われます。
結局食器共有のする・しないで有意差がなかった
というのは他の要因もあるから、それだけでは決定的な虫歯予防にならない
ということになります。
日本口腔衛生学会でも今回の発表で言ってますが
小児歯科での虫歯予防は
砂糖摂取の制限
歯ブラシ
フッ化物の応用
が基本になります。
③砂糖の管理がまずは一番大事!
先ほどの図で行くと
甘いものを食べなければ虫歯菌は酸を出しません。
お菓子や砂糖の摂取をコントロールするのが大前提になります。
食べれば虫歯のリスクは上がりますし
食べなければ虫歯のリスクは減ります。
よく「後で歯磨きする人?」と親が聞いて、子供が「はーい」といってお菓子を買ったりしている姿がありますが、夜に歯磨きするまでに虫歯菌が酸を出して、歯を溶かしていたら歯ブラシしても何の意味もありません。
今度は逆に「お菓子やジュースは全く上げていません!!」というお母さんがいますが、実際は味付けで砂糖を使うことは多々あります。直接砂糖を入れなくても、ケチャップやーソースにも砂糖は入っていて(だから子供は焼きそばやチキンライスが好き)今の世の中で全く砂糖を摂取しないといいうのは非現実的な話です。そこまでの制限は無理でしょう。
また保育園でおやつが出るとか、誰かに見てもらっている時に食べているようだとか、お母さんだけでは管理できない時もあります。
完璧に砂糖を取らないのは理想ですがそれは無理です。
どこまでうまくコントロールするかが大事です。
④歯ブラシを子供に完璧にしようとしても・・・
一方歯ブラシも
毎日歯ブラシをしている!
というお母さんはいますがその精度はわかりません。
かなり小さい頃から電動歯ブラシで磨かせる親がいます。確かに売り場に行くと
「歯垢除去率●●%!」
という衝撃的な文字が並びます。
ただし歯に電動歯ブラシが当たればその●●%が発揮されます。
仕上げ磨き完璧に全部の歯にブラシが当たっているかどうかは保証されていません。むしろ電動歯ブラシは歯より当たった感覚ないので難易度が上がります。
そもそも自分で自分の歯を電動でも手動でも歯ブラシで磨くなら、当たった感覚がありますが、他人の歯だと手先の感覚のみになるので、多くのお父さんお母さんは
磨いたつもりになってて磨き残しがある
という状態だと思います。
さらに子供の場合
歯ブラシが嫌で暴れまわる
気が付いたら寝ていた
機嫌悪い時は磨かせてくれない
といったように、毎日おとなしく磨かせてくれる子供の方が少ないです。
お母さんお父さんが気持ちの上で「歯ブラシを毎日しっかりやる」と思っていても
細かく見れば磨き残しはあると思った方がいいと思います。
また完璧に磨こうにも、機嫌が悪かったりすぐ寝てしまったり、動き回る子供を押さえて
毎日完璧に磨くのは難易度が高いです。
⑤虫歯予防で狙いに行くのは合わせ技で1本
つまり虫歯予防というのは「これ」という答えで一本を取りに行くのではなく
合わせ技で一本にするものです。
毎日嫌がって歯ブラシさせてくれないのであれば、砂糖の摂取は味付けのみで、お菓子とは極力上げないというのが必要になるし、お菓子をちょいちょい食べるのであれば、歯ブラシかなり頑張らないといけないとなります。
それでも虫歯ができたら歯ブラシより、砂糖摂取をもう少し抑えるしかないです。よく虫歯が見つかると「歯ブラシ頑張ります!」というお母さんいますが、そっちよりは甘いもののコントロールです。
お菓子を週の半分くらい食べさせてたのを、完全にやめるのは無理にしても2日ぐらいに減らしてみるとか、毎日果物あげてたのをちょっと減らそうとか考えたほうがいいです。
それで大丈夫というより、それで経過を見て新しい虫歯ができなければ、その子の虫歯にならないラインはそれなんだろうといいうことになります。
大事なのは「これをすると虫歯にならない」とか「甘いものを食べても歯ブラシすれば大丈夫」という何か一つに答えを求めることだと思います。食器の共有も同様で今回このような発表がありましたがこういった話も「答え」を欲しがってしまうのが一番の問題ではないかと思います。
⑥フッ素も過信しない
フッ素も効果は「歯を強くする」という効果はありますが、虫歯にならないほどの効果はありません。
RPGで言えば何も着ないより、鎧を着ればダメージは少ないですがダメージが0になるわけではないということです。
毎日フッ素入り歯磨き粉を使い、歯科医院で定期的にフッ素を塗っても、一日に何回も甘いものを食べて虫歯菌が酸を出せばダメージを受けるので、HPが0になる、つまり虫歯になります。
フッ素の一番の副作用は「親の過信」とある先生が言ってましたが、先ほど話したような、甘いもの砂糖を完全にシャットアウトできないように、完璧な歯ブラシが毎日できないなかで、歯を少し虫歯になりにくく強くするのがフッ素だと思うのがいいと思います。
一番まずいのは、フッ素入り歯磨き粉を使っている、フッ素を定期的に歯科医院で塗布しているから甘いもの食べても虫歯にならない
といった考えだと思います。
⑦じゃあ食器共有はしなくていいの?
こういったことから考えると
食器共有の有無で虫歯予防が仮にできたとしても、
それ以外の砂糖の摂取、歯ブラシをしないといったのが大丈夫になるということはないと思います。
また食器共有はしていいのか?となってしまいますが、今回のこういった発表の後、医科の先生から例えばコロナやインフルエンザが流行している、学校や幼稚園・保育園とうで流行している、もしくは家族内で感染者が出たという時は食器を許攸しないのも感染予防の一つの方法といった意見もありました。
そういった状況では食器を分けるというのも一つの方法になるということです。
ただしこれもこれだけしていると家庭内感染が防げるわけではなく、消毒や換気の徹底、ゾーンを分ける等家庭内に感染者や感染の可能性がある人がいたときに行ったうえでということだと思います。
⑧虫歯予防もこのように話が変わることもあります。
小児歯科では、虫歯予防としては
甘いものの管理と歯ブラシ、プラスフッ素の使用というのは変わらないと思います。
先ほども話したようにその子に合わせたバランスが大切で
甘いものの管理もしながら、歯ブラシもして、フッ素も使うというのが大事です。
いけないのは
歯ブラシを後ですれば甘いものを食べていとか
フッ素を使えば虫歯いならない
といった何かをすれば虫歯にならないという考えだと思います。
そういった人たちにとっては
食器を分けるというのも欲しがっていた絶対的な答えだったのかもしれません。
例えば子供の歯磨きでのフロスの使用というのも
小児の虫歯予防という観点からは根拠が不十分とされています。
(成人の虫歯予防や歯周病予防はまた別です)
ただこれもそもそも乳歯でしっかり口の機能を発達させたら
乳歯には隙間ができてくるので
フロスは必要ありません。
逆に機能の発達が弱く、隙間のない乳歯やそのまま永久歯の生え変わりに突入していけばさらにスペースが足りなく磨きにくくなるのでフロスはあった方がいいかもしれません。
こういった話も根拠が不十分というと、すぐにいる・いらないの話になりますが
そういった個々の条件の違いも加味しなければいけないことです。
できるだけ正しい情報を発信することはもちろん大事なのですが、本当に細かく見たときにその子の状況、環境様々な要素は変わってくるので、虫歯ができる前に歯医者さんに相談しながら個別のケースについては進めていくのが大事だと思います。
注意事項
*このページはただ歯科クリニックのブログです。あくまでも当院のの考えに基づいて書かれているもので、他院では診断・治療法・介入のタイミング等は違うことがありますのでご注意ください。
*このページの内容を無断で使用することは固くお断りいたします。
*医療法の改正に基づき術前術後の写真は掲載してません。無料相談時に類似症例を用いて説明をさせていただきます。
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