【2017年7月21日 6:00 PM更新】
こんにちは
仙台市泉区・富谷市からも近いただ歯科クリニックです。
初めての方はこのブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。
今日は当たり前だけど実はすごい話です。
もくじ
①口が一つ鼻が二つの理由
②鼻の穴は2つが常に働いているわけではありません。
③鼻の中は二つ同時に動いているわけではありません。
④お掃除できる鼻とお掃除できない口
①口が一つ鼻の穴が二つの理由
当たり前ですが口は一つで鼻の穴は二つです。
目も二つありますし、耳も二つあります。
そうじゃない人がいたら大変です。
しかしなぜ二つあるのか?といわれるとさっとこたえられる人は少ないと思います。
②鼻の穴は2つの役割があります。
鼻の穴は二つあるのですが「鼻呼吸」をしている時この二つが同時に働いてはいません。
鼻の役割は呼吸としての鼻。呼吸が止まれば人は死にます。口がななったらさすがに困りますが、1週間くらいなら水分さえ取れれば食べなくても人は死にません。極端な話栄養さえ体内に入れればある程度は生きられます。でも呼吸が止まったら30分も持たないのが人間です。それぐらい呼吸というのが大事なことだというです。
もう一つ鼻の役割はは雑菌やウィルスなどを通過させて体の中に入れない防御としての鼻があります。有名なのはインフルエンザウィルスは口の中はそのままの空気で素通りできますが、鼻の中は細い毛細血管があるので中の温度が高くなっています。また鼻水が出たり湿度があるので、高温多湿の環境になり、天然の加湿器とストーブが入っているようなものなのでインフルエンザは通過することができません。鼻の中は細い血管がたくさんあるのでちょっと傷がつくとすぐに鼻字が出ます。口の中は粘膜なのであんなに突然大量の血が出ることはありません。
風邪の引き始めはさらさらした鼻水が出ます。治るころになるとドロドロした鼻水が出ますが、あのどろどろしたのは免疫が倒した細菌の死骸です。逆にさらさらした鼻水は入ってきた菌を外に出すためにさらさらした鼻水になります。
③鼻の中は二つ同時に動いているわけではありません。
この防御としての鼻があった時に、左右同時に動いてしまうのはあまりよくありません。
どちらかが働いて、どちらかが休む方が効率的です。
呼吸だけではなく、防御の鼻として考えると呼吸を休んで鼻を掃除する時間が必要です。
例えば細菌を追い出すようなサラサラの鼻水の時に左右両方の鼻の穴が鼻水でたまると呼吸ができません。一方が呼吸ができて、一方は鼻水で細菌を追い出す。呼吸をしていた方が細菌がたくさん入ったら今度は逆になる。この動きを繰り返した方が効率的です。
片方が働いている間に片方がお掃除。そしてその逆を行う。
これを難しくはネーザルサイクル(交代性鼻閉)というのですが、人によってまちまちですがだいたい3時間ぐらいで変わるらしいです。
よく鼻で呼吸してくださいというと両方の鼻の穴で吸えないと驚く人がいますが、鼻水とかが出ていなくても吸うときは吸いやすい穴とそうでない穴があっていいと思います。たぶん何時間かしたらその鼻の穴が変わっているのであればもんだいがありません。
④お掃除できる鼻とお掃除できない口
大事なのは鼻というのは呼吸として使うために、空気の中にある雑菌やウィルスを体内に入れないシステムを作っていることとそのために2つの穴を使っているということです。
口呼吸の問題の一つに、口の中は雑菌やウィルスをやっつけるシステムを持っていません。唾液にそういった防御機能はありますが、菌が大量に入ってきたからと言って鼻の中のように口の中がだ液まみれになることはありません。基本、菌やウィルスは素通りでのどに入っていきます。
仮に鼻のように菌やウィルスをやっつけるシステムがあっても、大量の唾液が鼻水のようにダラダラ口からたれてきたり、どろどろの鼻水のように免疫で倒した細菌の死骸が口の中にたまることはありません。そんなことになったらなったで大変です。
つまり口が1つしかないということが、呼吸をするための器官でないということを証明しています。
鼻呼吸よりも口呼吸によって、インフルエンザのリスクが上がることは有名ですが、他にも鼻呼吸の人よりも菌やウィルスが入ってくるので免疫のシステムが狂いアレルギーなどの様々な症状を引き起こしたりします。
また鼻で加温された暖かい空気が入り込むのと違って、冷たい空気がそのまま肺に行くことで、体温が下がる原因になります。体温が1度下がると免疫力は30%下がります。
よっぽど熱い夏の日でなければ人間の体温より気温が高いことはないです。
血液が36度くらいを保ちたいのに、冬ならば0度の空気をそのまま体内に入れることは、体が体温を保つ前に無駄に動かないといけなくなります。そうなることで何もしていないのに、だるさだったり疲れが出てしまう原因にもなったりします。
あと低体温も呼吸を変えることで改善する人もいます。
子供が鼻呼吸ではなく口で呼吸しているということは、こういった正しい呼吸ができていないということです。正しいことができていなければ正しい発育・成長ができません。
歯並びの様々な問題とともに呼吸の問題があるのは、呼吸の問題によって起こる様々な症状の一つが歯並びの問題であるということです。
だから口呼吸の子供が、鼻呼吸になったから歯並びがよくなるということではなく、呼吸ができていなければ歯並びも悪いし、いったんよくなってもまた悪くなる可能性があるということになります。
参考に
鼻づまりの原因 鼻甲介とネイザルサイクル/ためしてガッテン(前編)
今日お話ししたことが詳しく書いています。NHKのためしてガッテンのまとめサイトのようです。
追記:2023年5月
こういった鼻呼吸・口呼吸といったこと以外にも「食べる」機能の問題がある子供の一部は2018年から「口腔機能発達不全症」という病名で保険診療での治療の対象になることがあります。ただし、歯並び・かみ合わせの問題がある場合矯正治療と同時に行うのは混合診療になるので当院では矯正治療の中で指導をしていきます。
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