【2018年12月9日 6:00 PM更新】
こんにちは
仙台市泉区・富谷市からも近い ただ歯科クリニックです。
初めての方はブログの簡単な注意事項こちらの記事に目を通してください。
今日は過蓋咬合、かみ合わせが深い歯並び特に乳歯の歯並びについてのお話です。
もくじ
⓵過蓋咬合とは?
②過蓋咬合は乳歯でも起こります。
③乳歯の過蓋咬合は永久歯が生えてくると、どうなるでしょうか?
④乳歯の過蓋咬合は乳歯をきれいに並べるためではなく・・・
⑤歯並びだけじゃない過蓋咬合の問題
⓵過蓋咬合とは?
過蓋咬合とは、かみ合わせが深い状態をいいます。正常では上の前歯が下の前歯を覆ったときに、正面から下の歯が2/3ぐらいが見えるのが正常ですが、それよりも深く噛んでしまって下の歯がほとんど見えなくなるような噛み合わせのことを言います。
永久歯、大人の歯になってからももちろんありますが、子供の歯乳歯でもこういったかみ合わせが起こります。一見上の前歯がある程度並んでいるような場合は歯並びに問題がないように見えてしまい、矯正を積極的にしたりしないでそのまま様子を見ていたりすることが多かったりします。
しかし過蓋咬合で永久歯のかみ合わせになってしまうと、下の顎の動きがロックされて前方や左右に動けないために顎関節に問題が起こったりします。また将来的には歯周病になったときにかみ合わせで正常と違い特定の歯に負担がかかるので歯周病の進行を早めたり、前歯が差し歯になった場合などは噛み合わせの負担で根っこが割れて抜歯になったりします。
②過蓋咬合は乳歯でも起こります。
過蓋咬合、深いかみ合わせは乳歯でも起こります。
乳歯の場合も永久歯と同様に一見きれいに並んでいるように見えます。そのためにお母さんは気づかないでそのままにしてしまうこともあります。
乳歯の過蓋咬合、深いかみ合わせの歯並びの特徴としては
・歯の隙間がない
乳歯の場合隙間なくきれいに並んでいる歯がきれいな歯並びではありません。
1993年の日本小児歯科学会で難波らの報告では、上の顎で3ミリ以下、下の顎で2.5ミリ以下の隙間しかない乳歯の歯並びの子供の場合、2/3の子供で永久歯の歯並びでスペースが足りなくなる。永久歯の歯並びに問題がほとんどないためには最低上の顎で6ミリ以上、下の顎で4.5ミリ以上の乳歯の隙間が必要だという報告です。
つまり乳歯の過蓋咬合は上下ともに顎の成長が足りない子供が多いです。
細かく言うと、劣成長の上の顎に、下の顎が抑えられて広がれない状態です。
・小さい上の顎に抑えられて下の顎が後ろに下がっている
上下の顎の成長が悪いのですが、成長できない上の顎に合わせて下の顎が後方に押し込められているという状態になります。大人のあ場合噛んでいる位置から下の顎を後ろに下げるのは難しいのですが、歯の生え変わりの時にグラグラの乳歯でも普通に噛めることもの顎はある程度自由に動けるようになっています。自由に動けるので悪い条件になると悪いほうに合わせて噛んでしまいます。
乳歯の過蓋咬合は顎の前後関係の問題の一つです。後ろに下がらないで顎が前方に出たときは受け口になるのでお母さんも一目で歯並びの問題に気付くのですが、過蓋咬合は見た目は普通のかみ合わせに見えるのでそのまま放置されてしまうことがあります。
③乳歯の過蓋咬合は永久歯が生えてくるとどうなるでしょうか?
乳歯の過蓋咬合は6~7歳の前歯の生え変わりになると
・歯が足りないスペースが足りない
・顎の前後関係
という二つの問題を抱えてしまいます。
乳歯の過蓋咬合の時点では劣成長の上の顎に下の顎が抑えられて、正しい顎の成長発育ができていないという状態ですが、そこに永久歯が生えてきたときに平均より大きい歯が生えてきてしまうと足りないスペースの量は増えてしまいます。顎も小さく、歯も大きいとなるとこの時点からスペースを作ろうとしても大変になります。
後方に押し込まれた下の顎は歯並びとは別に前方に出していかないといけません。
後方に押し込まれたままで歯並びだけを改善すると、きれいな出っ歯になります。それも上の顎が前に出ている出っ歯ではなく、正常な上の顎の位置に対して下の顎が後方に下がっている出っ歯です。
顎の前後関係はある程度歯のスペースの問題が改善してから行います。つまり前後関係の問題があるというのは治療が複雑になり、時間がかかるということになります。
④乳歯の過蓋咬合は乳歯をきれいに並べるためではなく・・・
ただ歯科クリニックでは乳歯の過蓋咬合は積極的に治療を行っています。
それは乳歯をきれいにに並べるためではなく、永久歯が生えてきたときの準備をして今ある問題をまずは改善するために行います。そのため乳歯の並びは逆に噛んでいなかったり、悪くなったようなかみ合わせになったように見えますが、あくまでも今ある問題を改善するための過程です。
仮に乳歯の段階での上下の顎の列成長が改善されても、永久歯がきれいに並ぶ保証はありません。その時点では永久歯の大きさが平均より大きいか、小さいかがわからないからです。
永久歯の前歯が生えたら、歯の大きさが必要なスペースがしっかりわかります。その時点で足りないスペースの量が決まればまたそこに合わせて何らかの治療をしていきます。
つまり6~7歳の前歯が生えてきたときに
歯並びの問題が歯の大きさだけなのか
歯の大きさと、顎の小ささと、顎の前後関係という3つになるのかの違いです。
治療しなければいけないことが増えれば、より治療は複雑になってしまいます。
⑤歯並びだけじゃない過蓋咬合の問題
また子供の過蓋咬合ではそういった顎の位置関係の問題から「食べる」機能の問題、呼吸の問題なども起こります。
元開らの調査では通常のかみ合わせと比べて過蓋咬合では
・食べ物の好き嫌いが多い
・食事中の水分摂取が多い
・噛み切れない
・食べこぼしが多い
こういった「食べる問題」が通常のかみ合わせよりも多く4割以上の割合で起こることが報告されています。
本来の噛みたい位置で噛めないので、噛みづらいため噛みにくい食べ物は噛みきれず、結果苦手な食べ物が多くなります。しっかり噛めないので水を飲んで流し込まないといけません。変な位置で噛まないといけないのでうまく食べれないので食べこぼしも多くなります。これらの問題に対して個別に対応しようとしてもかみ合わせが改善しなければ、なかなか改善しません。
下顎が後ろに下がると寝ているときに気道が圧迫されるのでいびきをかきます。それに伴い睡眠時にも様々な問題が起こってくるわけです。寝ているときの呼吸が苦しくなるので日中の生活にも影響が出てきます。
乳歯の過蓋咬合は一見歯並びの問題として認識しにくいのですが、その時点で治療を開始するのか?後回しにするのかでその後の治療の難易度が大きく変わります。乳歯は抜けてしまいますし、乳歯がきれいに並ぶ必要はないのですが、永久歯がきれいに並ぶための状態にあっている必要はあります。
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